中間圏

中間圏（メソスフィア）について

中間圏（ちゅうかんけん）、英語でメソスフィアとは、地球の大気の層の一つであり、成層圏と熱圏の間に位置しています。この層は、通常、高度約50kmから80kmの範囲に広がっており、鉛直構造の中では3番目の層となります。成層圏との境界は成層圏界面、熱圏との境界は中間圏界面と呼ばれています。この名称の「meso」はギリシャ語の「中間」を意味しています。

中間圏の温度特性

中間圏では、成層圏と異なり、気温は高度が上がるにつれて減少します。成層圏界面ではオゾンが紫外線を吸収し、平均的に気温は約-2.5℃程度ですが、ここから高度が上がるにつれてオゾン濃度が減少します。中間圏界面に近い部分では、気温が平均約-92.5℃にまで低下します。このため、中間圏界面付近は大気の中で最も低温な領域と言えるでしょう。しかしこの層では、対流圏のような対流現象はあまり見られず、比較的安定した状態が維持されています。また、高気圧や低気圧の発生も確認されていません。

中間圏の物理特性

中間圏には大気密度が非常に低く、熱の構造は主に酸素分子が太陽の紫外線を吸収し、温度を上げること、そして二酸化炭素が赤外線を放射して冷却を行うことに依存しています。このような過程が進行することで、夏期には中間圏界面で-100℃以下に達することがあるため、夜光雲と呼ばれる独特な雲が観測されることもあります。

電離層との関連

中間圏界面付近からの上部では、大気中の原子や分子が紫外線によって電離し、自由電子の生成が行われます。こうした電離現象によって形成される層は電離層と呼ばれ、特にその最下層であるD層は中間圏界面近くに位置しています。

波動現象と中間圏

巨大な高気圧や低気圧が発生することはないものの、中間圏ではプラネタリー波のような長周期の波動が上層へ伝わる際に、大きな影響を与えることが知られています。これらの波動によって作られる擾乱が極端に大きくなる場合があり、力学的に不安定な状態になることもあります。このような現象は、大気の大循環に対しても重要な影響を及ぼしています。

自然現象との関連

大規模な火山噴火が中間圏に影響を及ぼすこともあり、2022年のフンガ・トンガ噴火では、その影響が顕著でした。また、過去にはソ連の核実験、ツァーリ・ボンバによって発生したキノコ雲が中間圏の60kmにまで達した記録もあります。

SF映画との関わり

中間圏については、SF映画『サイレント・ワールド2011 地球氷結』（2010年）において、その冷気が人々に影響をもたらす様子が描かれています。この作品では、オゾン層に裂け目が生じ、中間圏の冷たい気がオーストラリアに吹き下ろし、さまざまな危機が引き起こされています。

中間圏は、その特異な性質と役割から、地球の気象や気候に重要な影響を及ぼしています。

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