火須勢理命

火須勢理命（ほすせりのみこと）

概要

火須勢理命は、日本神話に登場する神であり、瓊瓊杵尊（ににぎのみこと）と木花開耶姫（このはなさくやひめ）の間に生まれた第二子です。

この神の名前は、記紀の中でも『古事記』にのみ見られ、『日本書紀』には登場しません。『古事記』における記述も、瓊瓊杵尊と木花開耶姫の第二子であるということのみで、具体的な事績は記されていません。

瓊瓊杵尊と木花開耶姫の子は、海幸彦（うみさちひこ）と山幸彦（やまさちひこ）の物語に繋がりますが、『古事記』と『日本書紀』では、これらの子の名前や兄弟構成に差異が見られます。

『古事記』では、瓊瓊杵尊と木花開耶姫の子は、第一子が火照命（ホデリ、海幸彦）、第二子が火須勢理命、第三子が火遠理命（ホオリ、山幸彦）とされています。火遠理命の孫、つまり火須勢理命の大甥にあたるのが、初代天皇である神武天皇です。

一方、『日本書紀』では、瓊瓊杵尊と木花開耶姫の子として、音が似た「火闌降命（ほすそりのみこと）」または「火酢芹命（ほすせりのみこと）」という名前が登場しますが、これは海幸彦として扱われており、『古事記』に登場する火須勢理命とは事績が異なるため、同一視することはできません。

誕生

天孫降臨の段において、木花開耶姫が一夜で身籠ったことから、瓊瓊杵尊は彼女が国津神の子を身ごもったのではないかと疑いました。その疑いを晴らすため、木花開耶姫は火中で三神を生むという神事を行いました。

火須勢理命はその第二子であり、火が盛んに燃え立つときに生まれたことから、「ホスセリ」と名付けられました。

神名の意味

「ホ」は「火」を意味し、「スセリ」は「進む」という意味を持ちます。したがって、「ホスセリ」という名前は、「燃焼が進む」様子を表していると考えられます。

補足

火須勢理命は、『古事記』に名前が登場するものの、事績がほとんど語られていないため、その神格や役割については不明な点が多く残されています。しかし、瓊瓊杵尊と木花開耶姫の子であり、神武天皇の祖先に繋がる重要な神の一柱であることは確かです。

関連項目

日本の神の一覧
火中出産

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