災害図上訓練

災害図上訓練とは

災害図上訓練は、地図を用いて地域で大きな災害が発生する事態を想定し、地図と透明シート、ペンを用いて危険が予測される地帯や事態をシートに書き込む訓練です。リスク・コミュニケーションの手法のひとつとして活用されています。

この訓練は、ハザードマップのような役割を果たし、事前に危険を予測できるだけでなく、避難経路、避難場所、即応性のある避難準備の徹底、地域住民や関係機関が必要な対策や連携を検討し、参加者間で共有することを可能にします。

今日では、災害想像ゲーム（Disaster、Imagination、Gameを略してDIGとも呼ばれます）といった住民参加型のワークショップ技術も活用され、様々な事例が見られます。地域防災力の向上に向けた自助・公助・共助の確立に向けた取り組みとして広がりを見せています。

災害図上訓練の一手法：DIG

災害図上訓練の具体的な手法の一つにDIG（Disaster Imagination Game）があります。DIGは「ディグ」と読み、1997年に小村隆史と平野昌によって考案された簡易型災害図上演習で、参加型地域版図上演習とも呼ばれます。自衛隊で行われる指揮所演習（CPX）を防災訓練や災害対策の検討に応用したものです。

DIGの方法

1. 地図上にビニルシートを敷きます。
2. その上から、与えられた被害状況や地域の特徴、そこから推測される状況を書き込みます。
3. 10名程度のグループで、それに対する対処方法を討論しながら導き出します。

DIGは、問題を可視化できること、ゲーム感覚で手軽にできることが評価されています。材料も数千円程度で用意できるため、参加者のレベルに応じて地域の問題検討から実際の防災訓練まで幅広く応用できます。

DIGに必要な材料

油性ペン（様々な色を用意）
地図（状況に応じて使い分け）
ベンジン（油性ペンで書いたものを消す、除光液などで代用可能）
透明シート（地図の上に置いて使用）

DIGの発展

当初は防災訓練用に考案されたDIGでしたが、事後の対応に重きを置いていたことや、「DIGをやっているから大丈夫」といった根拠のない安心感を持つ人もいたことから、特に初心者や地域住民向けに災害対策の検討を行う手法の普及が図られています。

静岡県では、一部の高校をモデル校として授業の一部に取り入れているほか、「災害図上訓練DIGにチャレンジ！」というテキストを作成し、学校への普及を図っています。

参考文献

小村隆史・平野昌「図上訓練DIG（Disaster Imagination Game）について」『1997年地域安全学会論文報告集』p136-139
小村隆史「DIG（Disaster Imagination Game）」『消防防災』2004年秋号p92-103

関連項目

防災訓練
演習
ハザードマップ
リスク・コミュニケーション
ワークショップ

外部リンク

静岡県地震防災センター
岐阜県地域防災協働隊
加古川グリーンシティ防災会

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