ベンジン

ベンジン：性質、用途、種類、そして規格

ベンジンは、原油から精製される可燃性の高い液体です。主に炭素数5～10のアルカンと呼ばれる炭化水素から構成され、揮発性が高いのが特徴です。その用途は多岐に渡り、溶剤、燃料、洗浄剤などとして広く利用されています。しかし、名称は国や地域、用途によって異なっており、ガソリン、ナフサ、石油エーテル、リグロインなど、様々な呼び名で呼ばれるのが現状です。

ベンジンの性質

ベンジンは非極性溶媒に分類され、水には溶けません。一方、エタノールやジエチルエーテルなどとは自由に混ざり合う性質を持っています。また、引火性が高く、取り扱いには注意が必要です。精製プロセスとしては、まず原油から低沸点留分であるナフサを取り出し、濃硫酸で処理、アルカリで中和、水洗、脱水した後、蒸留によって精製されます。この工程で不純物が除去され、用途に合わせた品質が得られます。

ベンジンの用途

ベンジンの主な用途として、溶剤としての利用が挙げられます。染み抜き剤や機械の洗浄剤などに用いられ、その高い揮発性と溶解力が役立っています。また、懐炉の燃料としても利用されており、特に「工業ガソリン1号」と呼ばれるベンジンは、この用途に適しています。懐炉用ベンジンは、しみ抜きやシール剥がしにも使用できる場合が多いです。ただし、市販されているベンジンには、洗剤成分を含むしみ抜き用と、懐炉用のものがあり、用途に合わせた適切な製品を選ぶことが重要です。

ベンジンの種類と規格

ベンジンの種類は、その組成や用途によって異なります。日本では、日本工業規格（JIS）によって、工業ガソリン1号～5号、石油エーテル、石油ベンジン、リグロインなどが規定されています。JIS K 2201で規定されている工業ガソリン1号は、一般的に「ベンジン」と呼ばれ、溶剤や懐炉の燃料として利用されています。一方、JIS K 8594で規定されている石油エーテルや石油ベンジンは、化学実験用の試薬として用いられています。また、リグロインは、JIS K 8937で規定されており、ベンジン類の中では揮発性が比較的低いのが特徴です。

これらのベンジン類は、消防法上ではガソリンに該当し、危険物第4類、第1石油類、危険等級IIとして取り扱われます。また、労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則においても、第3種有機溶剤に分類されています。

名称の混乱

ベンジンの名称は、国や地域によって大きく異なります。例えば、ドイツ語、オランダ語、イタリア語では、「ベンジン」は「ガソリン」を意味する場合もあります。英語圏では、ベンジンという用語はあまり使われず、代わりに「ナフサ」が用いられることが多いです。このように、ベンジン、ガソリン、ナフサといった用語は、混同しやすい点に注意が必要です。

関連事項

ベンジンと密接な関連を持つものとして、懐炉やホワイトガソリンがあります。懐炉は、ベンジンを燃料とする携帯式の暖房器具であり、寒冷地での作業やアウトドア活動などで利用されています。ホワイトガソリンは、燃料用のナフサの一種であり、キャンプ用のストーブなどにも用いられています。

まとめ

ベンジンは、その高い揮発性と溶解力から、溶剤や燃料など様々な用途で利用されていますが、取り扱いには注意が必要です。名称の混乱も多い物質なので、使用する際には、その組成や用途を十分に確認し、適切な製品を選択することが重要です。また、安全な取り扱い方法を理解し、常に安全に配慮した上で使用することが求められます。

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