災害弔慰金の支給等に関する法律

災害弔慰金の支給等に関する法律

災害弔慰金の支給等に関する法律（昭和48年法律第82号）は、災害によって被害を受けた方々を支援するための日本の法律です。この法律は、1967年の羽越豪雨をきっかけに制定され、1973年に成立しました。

概要

この法律は、災害による被災者に対して、以下の3つの主要な対策を規定しています。

1. 災害弔慰金: 災害により亡くなられた方の遺族に対して支給される弔慰金です。
2. 災害障害見舞金: 災害により精神または身体に著しい障害を受けた方に対して支給される見舞金です。障害の程度は労災1級と同等という非常に高い基準が設けられています。
3. 災害援護資金貸付: 災害により世帯主が1か月以上の負傷をした場合や、住居や家財に大きな被害を受けた場合に、一定所得以下の世帯に対して生活資金を貸し付ける制度です。

ここでいう「災害」とは、原則として「自然災害」を指します。ただし、東日本大震災に伴う原発事故の被災者も、この法律の対象となっています。

各制度の課題

災害弔慰金

災害関連死の認定に関して、国による明確な審査基準が定められていない点が課題となっています。特に、東日本大震災の原発事故による災害関連死の基準については、各市区町村の自治事務として地域の実情に応じた審査が行われるという趣旨であるものの、審査に地域差が生じる懸念があります。また、審査を県に委託している場合もありますが、「詳細な実態を把握できない」という指摘もあります。

災害障害見舞金

災害障害見舞金の対象となる障害の程度は、労災1級と同等という非常に高い基準であるため、軽度の障害や、要介護度が上がった程度では救済されません。そのため、災害弔慰金の受給者数と比較して、災害障害見舞金の受給者数は極めて少ないのが現状です。元々は労災を受給できない人を救済する目的でしたが、障害の度合いに応じた段階的な見舞金を支払うべきだという意見もあります。

災害援護資金貸付

災害援護資金貸付制度は、国と県が財源を負担していますが、償還期日が到来しても利用者が市区町村への返済が滞った場合、市区町村がその償還を立て替える仕組みとなっています。災害援護資金は、もともと返済能力の乏しい被災者に生活資金を貸し付けるものなので、将来的に焦げ付くリスクが高く、そのリスクを被災自治体が国や県に代わって負うことになります。阪神・淡路大震災の被災自治体では、被災者に対して大量の訴訟を行わざるを得なくなり、被災者救済との間で板挟みになるという問題も発生しました。

その他の課題

災害弔慰金については、2分の1の国庫負担分と4分の1の都道府県負担分を、市町村が立て替え払いする必要があるため、多額の立て替え資金が必要となるという問題があります。立て替え後、2～3か月後に国と県の負担分が市町村に交付されるという仕組みも、市町村の財政運営を圧迫する要因となっています。

東日本大震災に伴う原発事故の被災者に対する災害弔慰金の適用については、岡本充功大臣政務官が「自然災害の種別を問わず、そして県内、県外の避難の状況を問わず、こういった弔慰金の対象になる」と明言しています。

関連項目

* 災害

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