点耳剤

点耳剤について

点耳剤、または点耳薬は、外耳や中耳に適用するために開発された外用薬の一種です。これらの薬剤は、特に外耳炎や中耳炎の治療に使用され、通常は医師の処方に基づいて使用されます。処方箋にはしばしば「EDR」と略されて記載されることがあります。

薬剤の形状

点耳剤には、抗菌薬やステロイド剤が含まれた様々な形状の製剤が存在します。液体や半固形の薬剤が一般的であり、使用時に粉末を溶解または懸濁させて使用する製品もあります。耳垢による塞栓には、耳垢を柔らかくするための耳垢除去剤が効果的です。

日本では、いくつかの点耳用抗菌薬が利用されています。これらには、セフメノキシム塩酸塩（商標名：ベストロン）、ホスホマイシンナトリウム（ホスミシンS）、オフロキサシン（タリビッド）、塩酸ロメフロキサシン（ロメフロン）、クロラムフェニコール（クロロマイセチン）などが含まれます。

点耳剤と点眼剤

点耳剤には、同じ効果を持つ成分が含まれる点眼剤もあります。ただし、点眼剤は濃度や添加剤の違いから互換性がないため、代用することはできません。また、点耳剤の容器は点眼剤に似ているため、誤投与を防ぐために「目に入れない」との注意書きが赤字で表示されています。

使用方法と注意点

点耳剤の使用にあたっては、まず綿棒などを使って外耳道を清掃します。その後、耳が患部である側を上に向け、薬液を数滴滴下します。この状態を2～3分維持することで、薬剤が患部に浸透します。薬液を耳に注入し、5～10分程度保持する方法を「耳浴」と呼びます。この治療法は昔から利用されていますが、不適切に行うと症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

また、冷蔵庫で保管した薬剤を使用すると、回転性のめまいを引き起こすことがあります。これは、外耳道や中耳の温度が急激に低下し、前庭が刺激されるためです。使用前に体温程度に温めることで、この不快感を和らげることができます。

外耳の湿疹・皮膚炎の治療

外耳の湿疹や皮膚炎には、糖質コルチコイドと抗生物質を含む軟膏剤が処方されることがあります。その一例が「眼・耳科用リンデロンA軟膏」で、これは眼科と耳鼻科の両方で使用可能です。

点耳剤は耳の病気の治療において重要な役割を担っていますが、正しい使用方法と注意点を理解し、自己判断での使用を避けることが大切です。

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