烏帯

烏帯（ウタイ）

烏帯（ウタイ、生年不詳 - 1152年）は、金の皇族であり、漢名は宗言と名乗った。第2代皇帝である太宗呉乞買（ウーキマイ）の孫で、虞王阿魯補（アルボ、宗偉）の子として生まれた。

経歴

熙宗（在位：1135年 - 1149年）の治世下で、烏帯は大理卿という要職に就いた。しかし、彼は同族の蕭王乙卒（エツソツ、秉徳）や熙宗の娘婿である唐括弁（トウカツベン）らと共謀し、迪古乃（テイクナイ、後の海陵王）を擁立するために熙宗を殺害するというクーデターを実行した。この功績により、海陵王が即位すると、烏帯は平章政事という重職に任ぜられた。

天徳2年（1150年）になると、烏帯は今度は熙宗殺しの同志であった乙卒と叔父の阿魯（アル、宗本）を謀反の罪で陥れた。海陵王は烏帯の讒言を信じ、乙卒と阿魯を処刑した。これにより、烏帯は右丞相に任ぜられると共に、乙卒の財産を没収して私腹を肥やし、さらに乙卒の娘を自分のものにしたという。その後、司空・左丞相・侍中と順調に出世を重ねていったが、数ヶ月後には解任され、崇義軍節度使として左遷された。

烏帯の妻である唐括定哥（トウカツテイカ）は、以前から海陵王と密通していた。天徳4年（1152年）7月、烏帯は海陵王の命を受けた唐括定哥によって暗殺された。

宗室

正妻
唐括定哥 - 海陵王と私通していた。烏帯の死後は宮中に入り、貴妃に冊立されている。
子女
兀答補（ゴタホ）
女子
孫
* 烏也阿補（ウヤアホ）（瑭（トウ））

金史の記述

『金史』巻一百三十二 列伝第七十には、烏帯に関する記述がある。

そこには、烏帯が熙宗晩年の不安定な状況に乗じて海陵王擁立を企て、熙宗殺害に関与したこと、海陵王即位後に重用されたこと、その後、乙卒らを陥れて権力を掌握したこと、そして最終的に海陵王によって暗殺された経緯などが記されている。また、烏帯の妻である唐括氏が海陵王と密通していたことや、烏帯の死後に唐括氏が貴妃に冊立されたことなども記述されている。

海陵王は烏帯の死を偽って悲しみ、その息子である兀答補に金符を与えて喪に服させた。そして、烏帯を王として追封し、霊柩車を護送させ、絹を贈るなど手厚く弔った。しかし、それはすべて唐括氏を后に迎えるための偽装工作であった。

兀答補は父の地位を継承したが、後に阿魯補の功績により、その地位は撒改の曾孫に譲られ、兀答補は阿魯補の地位を継承し、同知大興尹として生涯を終えた。その子である瑭は、曾祖父である阿魯補の功績により、筆硯祗候という役職に就いた。

烏帯は、権力闘争と陰謀が渦巻く時代に生きた人物であり、その生涯は金の皇族としての栄光と悲劇を象徴していると言えるだろう。

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