烏帽子町 (神戸市)

兵庫県神戸市灘区烏帽子町：歴史と文化が織りなす街

烏帽子町は、兵庫県神戸市灘区に位置する町名です。都賀地区の烏帽子、龍頭、了造、佐ノ原といった複数の区域を統合して誕生しました。東は友田町、南には阪神本線、西は鹿ノ下通、北には国道2号線を挟んで琵琶町と隣接しています。町域は、東から順に一丁目から三丁目まで分かれています。

2020年10月1日時点の国勢調査によると、烏帽子町の世帯数は584世帯、人口は891人で、男性445人、女性446人です。郵便番号は657-0042です。

町名の由来：三角形の田んぼと武家の儀式

烏帽子町という地名は、その形状に由来するとの説があります。古くから伝わる話では、この地の田んぼが烏帽子（三角帽子）のような形をしていたことから名付けられたと言われています。北側に位置する琵琶町が琵琶の形をした土地であったという話と合わせて、明治時代の地図からもその形状が確認できます。

一方で、歴史学者である川辺賢武氏は、烏帽子町の名は中世の武家社会における元服の儀式に関係しているという説を唱えています。文安4年（1447年）の旧天城文書「夏麦山手注文」の中に「百文 ゑほしの錢」という記述があり、河原、森、ミトロ（味泥）、ヒエタ（稗田）といった地名と共に烏帽子の銭に関する記述が見られます。このことから、烏帽子の銭を管理するための共有地「エボシ田」が存在していた可能性が示唆されています。

この元服の儀式においては、実の親ではないものの、子どもの面倒を見る者を「エボシ親」、その子供を「エボシ子」と呼んでいました。「エボシ子」は同族の印であり、通常は「エボシ親」が自らの費用で養育していたとされています。ただし、『灘区の町名』（灘区役所広報相談課編、1976年）では、この説の根拠は薄いとしています。

このように、烏帽子町の地名は、田んぼの形という自然地理的な由来と、武家の儀式という歴史的な由来、両方の可能性が考えられています。現在では、これらの説が複合的に作用して、現在の地名が形成されたと言えるでしょう。

烏帽子町に存在する主な施設

烏帽子町には、神戸市立烏帽子中学校などがあります。この中学校は、地域の子どもたちの教育を担う重要な施設として、長年にわたり地域社会に貢献しています。

まとめ：多様な歴史と現在

烏帽子町は、そのユニークな地名に象徴されるように、歴史と文化が深く根付いた町です。田んぼの形に由来する説や、武家の儀式にまつわる説など、町名の由来をめぐる様々な解釈が存在するのも、烏帽子町の奥深い歴史を示しています。今後も、この地域の歴史と文化が大切に継承され、発展していくことが期待されます。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年

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