烏有書林

烏有書林（うゆうしょりん）について

烏有書林は、2008年に設立された東京都新宿区の出版社です。その社名には「ともすれば烏有となる著作を掬い上げたい」という願いが込められています。文学や人文学に特化した出版物を扱い、独自の視点で選ばれた作品群を世に送り出しています。

社主の背景

烏有書林の社主は上田宙氏です。彼は日本出版学会が発行する『出版研究』の編集委員であり、さらに紀伊國屋書店が運営するブログ「書評空間」において書評を連載していた経歴も持っています。このように、上田氏は出版の専門家としての深い知識と経験を有しています。

「シリーズ 日本語の醍醐味」

2011年末から始まった「シリーズ 日本語の醍醐味」は、同社が取り組んでいる注目のプロジェクトです。このシリーズは、著名な作家の作品を通じて日本語の美しさや奥深さを伝えることを目的としています。初回刊行作品は坂口安吾の『アンゴウ』で、続いて登場する作品には石川桂郎の『剃刀日記』や藤枝静男の『田紳有楽』などがあり、いずれも高い評価を得ています。このシリーズは、朝日新聞をはじめとする主要なメディアで取り上げられ、話題を集めました。

デザイン書籍の受賞歴

烏有書林は、文芸書だけでなくデザイン書籍にも力を入れています。特に2013年に発行された『高岡重蔵 活版習作集』は、その美しい装丁と内容が評価され、第10回竹尾賞デザイン書籍部門で審査員特別賞を受賞しました。また、第48回造本装幀コンクールにおいては日本印刷産業連合会会長賞を受賞するなど、業界内外でその実力を証明しました。このように、高品質なデザイン書籍を提供することでも知られています。

主な刊行物

烏有書林がこれまでに出版してきた主要な作品には、日本文学の古典的な名作や現代の優れた作品が含まれています。以下にその一部を紹介します。

• - 坂口安吾『アンゴウ』（2011年）
• - 石川桂郎『剃刀日記』（2011年）
• - 藤枝静男『田紳有楽』（2012年）
• - 皆川博子『ペガサスの挽歌』（2012年）
• - 尾崎士郎『没落時代』（2013年）
• - 小林美代子『蝕まれた虹』（2014年）
• - 金子光晴『老薔薇園』（2015年）
• - 吉行淳之介『廃墟の眺め』（2018年）
• - 太宰治『黄金風景』（2021年）
• - 宇能鴻一郎『甘美な牢獄』（2022年）

デザインに関する書籍としては、高岡重蔵の『欧文活字（新装版）』や後藤吉郎訳による『ジョンストンのロンドン地下鉄書体』などがあります。

住所

烏有書林は東京都新宿区西五軒町11-1に所在します。文芸・人文書の一翼を担う出版社として、今後も独自の作品群を発表していくことでしょう。

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