烏森 (花街)

烏森（からすもり）

烏森、または新橋南地は、かつて東京都港区新橋に存在した花街です。この地域は、かつては多くの芸妓や料亭が集まり、賑わいを見せていましたが、その歴史は時代の変遷とともに変化を遂げました。

沿革

烏森の歴史は、明治初期に新橋から派生したことに始まります。元々は金春新道（現在の銀座8丁目）にあった新橋の花街が、1869年（明治2年）12月に数寄屋町で発生した大火により焼失した際、多くの芸妓や置屋が汐留川の向かいにあった烏森に逃れました。その後、煉瓦街の完成に伴い、大半の人々は元の場所に戻りましたが、一部の芸妓と置屋が烏森神社周辺に残り、ここに新たな花街が形成されました。

1887年（明治20年）には、烏森と新橋合わせて30軒の一流のお茶屋が烏森に集中するほど、その勢いを増しました。当初は新橋の花街と共に発展していましたが、1921年（大正10年）に花街の位置などの理由から分離し、独立した花街としての道を歩み始めました。1922年（大正11年）には、芸妓置屋が111軒、芸妓が294名、幇間が9名、料理屋が11軒、待合が95軒と、その規模は最盛期を迎えました。

しかし、1944年（昭和19年）には、第二次世界大戦の影響により花街は閉鎖されました。翌1945年（昭和20年）には、東京大空襲により烏森神社一帯が焼失するという悲劇に見舞われました。戦後、この地域は復興を遂げ、1950年（昭和25年）には料亭が47軒、芸妓が80名と、再び活気を取り戻しましたが、1950年代後半になると、料亭の転廃業が相次ぎ、1967年（昭和42年）頃には、烏森の花街としての歴史は終わりを告げました。

現在、烏森神社を含む新橋駅西口周辺は、飲食店街として新たな賑わいを見せていますが、かつての花街の面影はほとんど残っていません。

参考文献

* 上村敏彦『東京 花街・粋な街』街と暮らし社、2008年。ISBN 978-4901317191。

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