無土器期

無土器期（むどきき）

無土器期は先島諸島の先史時代を代表する文化の一時期であり、約1,800年前から12世紀頃までの期間とされています。この時代は、世界的にも珍しい無土器文化が展開したことが特長です。特に、先島の文化は島の周辺で栄えていた沖縄本島の貝塚文化とは異なる独自のものと考えられています。

概要

下田原期（有土器時代）が終了すると、約2,000年の間、明確な人々の生活跡が見られない空白期を経て、無土器期が始まります。この時期の遺跡は主に海岸近くに位置し、その数は下田原期の約3倍に上ります。

発掘調査によれば、宮古島と八重山列島にはそれぞれ多数の遺跡があり、宮古島の遺跡の方が古いことがわかっています。このことから、無土器期の文化が宮古島から広がった可能性が示唆されています。

文化の特性

無土器期の遺構には、礫床敷住居や掘立柱建物が見られ、貝製品や石器の遺物が多数発掘されています。特にシャコガイ製の貝斧が特徴的で、利用されるサイズや形状には多様性があることが知られています。これらの道具は、ほとんどが貝偶や魚骨と共に見つかっており、食生活は漁撈中心の採集生活であったと考えられています。

食文化

農業的な痕跡が発見されていないことから、食料は主に海からの獲物に依存していたことが示されていますが、イノシシの骨も発見され、その調理法から飼育も行われていた可能性があります。遺跡からは熱した石を用いた調理法の証拠も見つかっており、調理するための技術やスタイルがありました。このような文化的特徴は、無土器期がフィリピンや南太平洋の文化と関係していることを示唆しています。

外部交流の痕跡

無土器期の先島は、外部との交流が少なかったとされていますが、唐代の中国からの貨幣や陶器が出土したこともあり、一部の交易は行われていたことがわかります。また、無土器期の後期には、先島で土器や農耕文化が出現し、文化の変化が見られます。

文化の起源

無土器期の文化の起源については、下田原期との関連が不明な点が多く、どのような人々がこの文化を担っていたのかははっきりしていません。貝斧や焼石調理法の起源はフィリピンやポリネシアの文化との関連が指摘されていますが、いずれにしても、下田原期とは異なる文化が形成された可能性があります。

結論

無土器期は、狩猟採集が主な生活様式であった時代として、先島諸島における重要な文化の一環を成しており、その後の歴史においても多くの変化をもたらす要因となりました。独特の特徴を持つこの時代は、沖縄以外の地域とは異なる文化を形成し、地域の発展に貢献していたと考えられています。

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