無声後部歯茎摩擦音

無声後部歯茎摩擦音について

無声後部歯茎摩擦音（むせいこうぶしけいまさつおん）は、子音の一種であり、発音時に声帯の振動を伴わない無声音です。この音は、舌を歯茎の後ろ、つまり後部歯茎に近づけ、その隙間を空気が摩擦しながら通過することで生じます。国際音声記号では [ʃ] と表記され、この記号はラテン文字のエッシュの小文字に由来しています。

発音の特徴

1. 気流の発生: 肺から送り出される呼気を利用します。
2. 声帯の振動: 発音時に声帯は振動せず、無声音として発せられます。
3. 調音部位: 舌の先端部分を歯茎の後ろ（後部歯茎）に近づけて発音します。これにより、後部歯茎音となります。
4. 調音方法:
気流の通り道: 舌の中央を気流が通過する中線音です。
器官の接近度: 舌と歯茎の間に狭い隙間を作り、そこを空気が摩擦しながら通過することで音が発生します。
口蓋帆: 口蓋帆を持ち上げて鼻腔への通路を塞ぎ、口からのみ空気を出す口音として発音します。

様々な言語での例

無声後部歯茎摩擦音は、多くの言語に存在します。以下に代表的な例を挙げます。

イタリア語: 「sc」（前母音字の前）、「sci」（後母音字の前）でこの音を表します。
英語: 「sh」の綴りで表されます。例えば、"ship", "she", "wash" などがあります。
ドイツ語: 「sch」の綴りで表されます。例として、"Schule", "schön", "Fisch" などがあります。
フランス語: 「ch」の綴りで表されます。例えば、"chat", "cher", "machine" などがあります。
ハンガリー語: 単独の「s」の文字で表される場合があります。

英語、ドイツ語、フランス語では、この音を発音する際に軽い唇の丸みを伴うことが一般的です。

注意点

ロシア語: ロシア語の発音表記で「ш」を無声後部歯茎摩擦音とすることがありますが、実際には無声そり舌摩擦音 [ʂ] であることに注意が必要です。これは、舌を反らせて発音する音であり、無声後部歯茎摩擦音とは異なります。
日本語: 日本語の「し」や「しゃ」行の子音は、話者によって異なる場合がありますが、標準的な発音は無声歯茎硬口蓋摩擦音 [ɕ] です。これは、舌を歯茎と硬口蓋の両方に近づけて発音する音であり、無声後部歯茎摩擦音とは区別されます。

まとめ

無声後部歯茎摩擦音 [ʃ] は、舌と後部歯茎の間にできる隙間を空気が摩擦することで生じる、多くの言語に存在する子音です。発音方法や調音部位を理解することで、より正確な発音が可能になります。様々な言語での例を参考に、この音の特徴を掴んでみましょう。

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