無差別曲線

無差別曲線とは

無差別曲線（英: indifference curve）とは、経済学において、消費者が同じ満足度（効用）を得られる2つの財の消費量の組み合わせを繋いだ線のことです。 потребителитеは、この曲線上のどの組み合わせを選んでも、主観的には同じように感じます。つまり、消費者にとって無差別な消費計画を結んだ曲線であるため、こう呼ばれます。別名、等効用曲線とも呼ばれます。

無差別曲線の形状

消費者の選好が一定の条件（完備性、推移性、連続性、単調性など）を満たす場合、無差別曲線は通常、以下の特徴を持ちます。

右下がり: ある財の消費量を増やすと、効用を一定に保つためには、別の財の消費量を減らす必要があるため、無差別曲線は右下がりになります。
原点に対して凸: これは、限界代替率逓減の法則が働くためです。限界代替率とは、効用を一定に保ちながら、ある財をもう一方の財で代替する際の交換比率のことで、通常、一方の財の消費量が増えるほど、その財に対する評価が下がり、限界代替率は小さくなります。このため、無差別曲線は原点に対して凸の形状になります。
交わらない: 無差別曲線は、異なる効用水準を表すため、互いに交わることはありません。

消費者の最適選択

消費者は、与えられた予算制約の下で、最も高い効用を得られる消費の組み合わせを選択しようとします。この最適消費点は、無差別曲線と予算線が接する点で決定されます。予算線とは、消費者が与えられた所得と財の価格の下で購入可能な消費の組み合わせを表す線です。無差別曲線と予算線が接する点では、限界代替率が2つの財の相対価格と等しくなります。

所得消費曲線と価格消費曲線

所得消費曲線: 所得が変化したときに、消費者の最適消費点がどのように変化するかを示した曲線です。所得が増加すると、通常、消費者の消費水準は向上し、より高い効用を得られる無差別曲線へと移動します。所得消費曲線は、所得の変化に対する財の消費量の変化を表します。
価格消費曲線: ある財の価格が変化したときに、消費者の最適消費点がどのように変化するかを示した曲線です。ある財の価格が低下すると、その財の消費量は増加し、別の財の消費量は減少する可能性があります。価格消費曲線は、価格の変化に対する財の消費量の変化を表します。

代替効果と所得効果

価格変動が消費量に与える影響は、代替効果と所得効果に分解できます。

代替効果: ある財の価格が変化すると、消費者は相対的に安くなった財を多く消費し、高くなった財を少なく消費しようとします。これは、効用水準を一定に保ったまま、相対価格の変化による消費の変化を表します。
所得効果: ある財の価格が変化すると、消費者の実質所得（購買力）が変化します。価格が低下すると実質所得が増加し、価格が上昇すると実質所得が減少します。この実質所得の変化が消費に与える影響が所得効果です。

これらの効果を分離する方法として、スルツキー分解があります。スルツキー分解は、価格効果を代替効果と所得効果に分解するための手法であり、スルツキー方程式によって表されます。

無差別曲線の応用

無差別曲線は、消費者行動の分析において非常に強力なツールであり、さまざまな分野で応用されています。例えば、以下のようなものが挙げられます。

消費者余剰の測定: 消費者が財の購入から得る利益を測定するために使用できます。
税金や補助金の効果分析: 税金や補助金が消費者の行動に与える影響を分析するために使用できます。
社会福祉の評価: 社会全体の厚生水準を評価するために使用できます。

無差別曲線は、ミクロ経済学の基礎概念であり、消費者行動を理解するための重要なツールです。

もう一度検索