無料低額宿泊所

無料低額宿泊所について

無料低額宿泊所（むりょうていがくしゅくはくじょ）は、福祉的な居住施設として運営されており、特に経済的に困難な状況にある方々を支援することを目的としています。政府に届け出を行うことで設置できるこの施設は、社会福祉法に基づく第二種社会福祉事業の一部とされ、簡易住宅を低料金または無料で提供することが法律で定められています。略称としては「無低（むてい）」と呼ばれることもあり、特に生活保護を受ける方々に利用されています。

施設のサービス形態

無料低額宿泊所では、様々なサービス形態があります。宿泊のみを提供する施設、宿泊と食事がセットになっている施設、さらには宿泊、食事に加え、入所者への相談や就労支援を行う施設など、多岐にわたります。設置は比較的簡便で、都道府県知事への届出だけで開設できます。これにより、多くの民間NPO団体や、個人、任意団体が事業を運営しています。

短期的な居住の場

生活保護法においては居宅保護が原則であり、生活保護を受ける人々は通常、住宅で生活します。そのため、厚生労働省は無料低額宿泊所を一時的な避難所として位置付けていますが、実際には長期にわたる滞在が問題視されています。

海外の類似施設

海外にも、日本の無料低額宿泊所と似たような施設が存在します。例えば、香港には「籠の家」と呼ばれる施設があります。これらの施設も、生活困難者を支援する役割を果たしています。

貧困ビジネスとの関連

入居者の大半は生活保護を受給しているため、入居する際の費用（家賃）は生活保護の住宅扶助に基づいて設定されています。このため、入所者が生活保護を申請するよう促されることも多く、特に高齢男性が多く入居しています。女性向けの施設や母子向けのDVシェルターも存在しますが、全体的には入所者を操作する「囲い屋」と呼ばれる団体が問題視されています。これらの団体は、本来の支援の理念に反して、入所者の生活保護費を搾取するなど、社会問題を引き起こしています。

生活環境の問題

無料低額宿泊所は基本的に一時的な施設として設計されていますが、入所者によっては長期にわたり滞在することが常態化してしまうケースがあります。一度入所すると、アパートに転居することが難しくなることもあり、劣悪な環境から逃れられない入所者も多過ぎます。中には脱走して再び路上生活に戻る人々も存在します。さらに、施設内に外部へ連絡できる手段がないこともあり、福祉事務所への連絡が困難なケースもあります。

入所者が死亡する事例も相次いでおり、特に施設職員による暴行が問題視されています。2000年代から無料低額宿泊所が増加し、貧困ビジネスとしての問題が明るみに出てきました。

統計と制度の変化

厚生労働省の調査によれば、2015年には全国に537施設が設置され、利用者数は15,600人に達しました。そのうち14,143人が生活保護受給者であり、東京や神奈川、千葉、埼玉などの地域に多く集中しています。2019年に厚生労働省は、設置・運営基準を制定し、2020年から実施されています。

地方自治体でも貧困ビジネス対策として独自の規制条例が設けられており、東京都では契約期限を設定し改修の義務も課されています。しかし、実際には長期滞在が常態化していることが明らかになり、入所者の生活環境改善にはまだ多くの課題が残されています。

まとめ

無料低額宿泊所は、福祉的な側面を持ちつつも、システムの問題や貧困ビジネスの影響を受けた複雑な事情を抱えています。制度の改善や利用者への本当の支援が求められている現状です。

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