無登録農薬

無登録農薬とは何か？

無登録農薬とは、農薬取締法に基づく登録を受けていない農薬を指します。一見すると安全な自然由来の資材でも、化学的に殺菌・殺虫効果のある成分が含まれていれば、登録が必要となる場合があります。

無登録農薬には、大きく分けて以下の3つの種類があります。

1. 登録できなかった農薬: 危険性などの理由で、使用認可が下りず登録できなかった農薬です。
2. 失効農薬: 過去に登録されていたものの、3年ごとの再登録がされず、有効期限が切れた農薬です。販売停止処分がされていない場合、最終有効年月日までは販売・使用が可能ですが、一般的には使用できません。
3. 農薬疑義資材: 「農薬ではない」と謳いつつ、実際には登録が必要な農薬成分が含まれている資材です。成分の含有量によっては、無登録農薬として扱われる可能性があり、販売者による自主回収が行われるケースもあります。

例えば、木酢液はかつて農薬として登録されていましたが、販売者の再登録手続き不履行により失効農薬となっています。「松根木酢液」という商品名は農薬としての使用が禁止されていますが、それ以外の木酢液については、生産者の自己責任において使用が可能です。ただし、農薬としての効果を謳った販売は禁止されています。

無登録農薬と特定農薬、その他の製品との違い

安全性が確認され、農林水産省によって特定農薬として指定されたもの（2023年現在、重曹、食酢、土着天敵、エチレン、次亜塩素酸水など）は、無登録農薬には該当しません。

また、植物の病害虫防除を目的としない製品も、無登録農薬の範疇外です。具体的には、不快害虫（アリ、ハチ、ムカデなど）駆除用殺虫剤、農薬登録のない非農耕地用除草剤、家ネズミ用殺鼠剤などが挙げられます。ただし、これらの製品を植物保護目的に使用すると、農薬取締法違反となります。

無登録農薬の歴史と法規制

1971年の農薬取締法改正で、農薬の安全性に関する基準が強化されました。これにより、農薬登録に必要なコストが増大し、一部の生産者が登録を回避するようになりました。当初は、無登録農薬の製造・輸入は制限されていましたが、使用に関する罰則規定はありませんでした。

2002年、発がん性のある無登録農薬が広く使用されていることが発覚し、農薬取締法が改正され、製造・輸入・使用が明確に禁止されました。その後も、家庭園芸用肥料などから農薬成分が検出される事例が相次ぎ、農林水産省は登録検査項目の見直しや、販売者への指導などを行っています。

農林水産省の取り組み

農林水産省は、無登録農薬の取締りを強化し、安全性に関する情報を公開することで、消費者の安全確保に努めています。具体的には、無登録農薬の検出事例の報告、関係企業への指導、特定農薬の指定などが挙げられます。また、農薬登録制度の見直しや、消費者の理解促進のための啓発活動にも力を入れています。

まとめ

無登録農薬は、安全性が確認されていない可能性があり、使用には大きなリスクが伴います。農薬を使用する際には、必ず登録されている農薬を使用し、表示に従って正しく使用することが重要です。農林水産省のウェブサイトや関連資料で、最新の情報を確認するようにしましょう。

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