無相流新柔術

無相流新柔術の概要

無相流新柔術（むそうりゅうしんじゅうじゅつ）は、香川県の古流柔術の流派であり、その起源は中條勝次郎澄友（1799-1846）が創始したことで知られています。この流派は無相流逆捕から派生し、文政七年頃（1824年）に新たな流派名として無相流新柔術が成立しました。中條勝次郎は多くの武術を学び、武士や町人に文武を教えるが、中でも特に武道に力を入れていました。

中條勝次郎の足跡

中條勝次郎は幼少期に丸亀雑賀の嶌友三のもとで、様々な武道を学びました。14歳で無相流逆捕、天下無双流捕縄術、関口流居合などを習得し、17歳で全ての免許を取得。さらに、他の流派にも師事し、刀剣や縄術の技術を磨きました。特に、彼は直心影流剣術での免許皆伝も取得し、その幅広い知識と技術を背景に、独自の流派を体系化しました。

文政七年頃には、中條塾を開校し、昼間は武士、夜間は百姓や町人に教えるという優れた教育者としての顔も持ち合わせます。この塾は、後に数多くの門人を輩出し、特に次男の中條秀次郎が2代目の塾頭としてその名声を高めました。

また、彼の死後にも、中條塾はその後継者たちによって、さらなる発展を遂げていきました。二代目の中條秀次郎は、武道家としての名声とともに、教育者としても成功を収めました。彼は青海に道場を設立し、後輩の育成に努め、外部の武士からの多くの信頼を集めました。

無相流新柔術の技法

無相流新柔術は、捕手、組討、縄などから構成され、特に寝技においてその技巧が際立っています。この流派は寝技を主としており、当身や急所を重視する独特の訓練方法も存在します。また、捕縛法や組討刺撃法、様々な技術を持つことで知られ、特に地元香川県の柔道界においても重要な役割を果たしました。

たとえば、松井三蔵はこの流派の寝技を県内に広め、「寝技王国讃岐」と呼ばれる時代を築き上げたとされています。松井は講道館において寝技の重要性を訴え、時には教えを受ける側に回ることもありましたが、無相流の寝技と講道館の投技主体のスタイルの違いが影響し、入門を果たさない結果となりました。

中條塾の影響

中條塾は、文武を合わせて教える唯一無二の道場で、ここから学んだ武士たちが全国各地に伝承を広めていきました。特に、優れた弟子たち、通称「中條四天王」と称される人物たちは、他地域への興行や普及活動を行い、流派の名声をさらに高めました。中條秀次郎の門人には、千田伝四郎や綾野孫七などの著名な武道家が名を連ねています。

また、無相流新柔術と関連した大事件も多く、その際にも中條秀次郎が警察での活動に関与する場面もありました。特に1871年に盗賊を捕らえたことで、その名は運命的に歴史に刻まれました。

結論

無相流新柔術は、ただの武道流派にとどまらず、地域の教育文化に寄与し、武士や町人が共に学ぶ場を提供することに成功しました。今なお、その技術や精神は受け継がれ、多くの柔道家や武道家に影響を与え続けています。

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