煕子女王

煕子女王（きし（ひろこ）じょおう）

生涯

生い立ち

生年は不詳ですが、煕子女王は醍醐天皇の皇太子であった保明親王と、藤原時平の娘である仁善子の間に生まれました。保明親王の第一王女であり、同母の兄には慶頼王がいました。しかし、その生は決して平穏なものではありませんでした。

父と兄の死

延長元年（923年）、父である保明親王が皇太子のまま21歳で急逝しました。さらに、その2年後の延長3年（925年）には、兄の慶頼王も幼くして亡くなってしまいます。相次ぐ皇位継承者の死に、祖父である醍醐天皇をはじめ周囲の人々は、菅原道真の祟りではないかと恐れたと言われています。

朱雀天皇の女御として

承平7年（937年）2月、煕子女王は叔父にあたる朱雀天皇に入内し、女御宣下を受けました。天慶元年（938年）12月には従四位下に叙せられ、宮廷での地位を確立します。しかし、天慶8年（945年）には母である藤原仁善子が亡くなり、悲しみに暮れます。その翌年の天慶9年（946年）4月20日には、夫である朱雀天皇が譲位しました。

出産と死

天暦4年（950年）5月5日、煕子女王は一人娘の昌子内親王を出産しました。この出産により従三位に叙せられますが、その同じ日に亡くなってしまいます。なお、この薨去日については3月15日とする説も存在します。短い生涯でしたが、その中で多くの出来事を経験しました。

死後

煕子女王を亡くした朱雀天皇は、彼女を偲び、一首の和歌を詠みました。この和歌は『玉葉集』に収められており、天皇の深い悲しみが伝わってきます。

人物像

煕子女王は、皇族という高貴な身分に生まれながらも、父や兄の死、そして自身も出産という大仕事を終えた直後に亡くなるという、悲劇的な運命を辿りました。しかし、その短い生涯の中で、女御として宮廷に務め、天皇の后として一人の子を産み育てました。彼女の生涯は、当時の皇族社会の複雑さと、女性が置かれた立場を象徴していると言えるでしょう。

補足

別名: 王女御とも呼ばれています。
家族構成: 父は保明親王、母は藤原仁善子、兄は慶頼王、夫は朱雀天皇、娘は昌子内親王です。
* 和歌: 朱雀天皇が彼女を偲んで詠んだ和歌が『玉葉集』に収録されています。

この文章は、提供された情報を基に作成されました。史実に基づいた内容を心がけていますが、一部解釈の余地がある点についてはご了承ください。

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