熊座の淡き星影

熊座の淡き星影

『熊座の淡き星影』(イタリア語: Vaghe stelle dell'orsa)は、1965年に公開されたイタリア映画で、監督は名匠ルキノ・ヴィスコンティが務めました。この作品はモノクロ撮影でビスタサイズ（1.66：1）で構成され、上映時間は約100分です。物語は、古代エトルリア文明の影響を受けた中部トスカーナ地方のヴォルテッラを舞台にしています。これは、サスペンスとドラマの要素を交えつつ、呪われた一族の忌まわしい過去にフォーカスしたものです。

本作は、ギリシャ悲劇のソポクレスによる『エレクトラ』を基にしており、またいくつかのセリフはダヌンツィオの詩から引用されています。映画のタイトル自体は、詩人ジャコモ・レオパルディの詩の一節に由来しています。音楽的な側面では、セザール・フランクの『前奏曲、コラールとフーガ』がテーマ曲として用いられ、作品の雰囲気を一層引き立てています。また、第26回ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞とチネマ・ヌーボ賞を受賞し、その芸術的な評価は高まりました。

ストーリー

物語は、サンドラ（演：クラウディア・カルディナーレ）と夫アンドリュー（演：マイケル・クレイグ）が、ジュネーヴからニューヨークに向かう途中、サンドラの故郷であるヴォルテッラに立ち寄るところから始まります。ナチスによって非業の死を遂げたユダヤ人科学者であるサンドラの父を顕彰するため、彼の像を作成し、庭に市に寄贈する除幕式が行われる計画です。

そこへ、サンドラの弟であるジャンニ（演：ジャン・ソレル）が突然現れ、二人は非常に親密な抱擁を交わします。しかし、ジャンニは自伝的小説を出版する意向を告げる中で、姉弟の過去には何か隠された秘密があることをほのめかします。この背景には、かつてピアニストだった母親（演：マリー・ベル）と再婚相手のジラルディーニ（演：レンツォ・リッチ）との複雑な家族関係が絡んでいます。

家族の間には深い確執が根付いており、サンドラは父が死に至ったのは母とジラルディーニの密告によるものだと信じ込んでいました。アンドリューは矛盾した感情の中で、家族の和解を目指してジラルディーニを夕食に招待しますが、口論が発生。ジラルディーニは姉弟の関係について不穏な発言をし、アンドリューは深いショックを受け、ジャンニに手を上げてしまいます。アンドリューは一人ニューヨークへ出発し、サンドラとの関係を試す決断をします。

一方、ジャンニは本来出版するはずだった小説『熊座の淡き星影』を燃やし、サンドラへの執着を炸裂させますが、彼女は夫の方へ戻ることを選びます。除幕式が近づく中、母親の主治医ピエトロとメイドのフォスカがジャンニを呼ぶと、彼はすでに薬の影響で息を引き取っていたという衝撃的な展開が待ち受けています。

キャスト

• - サンドラ・ドーソン：クラウディア・カルディナーレ
• - ジャンニ・ワルト＝ルッツァッティ：ジャン・ソレル
• - アンドリュー・ドーソン：マイケル・クレイグ
• - アントニオ・ジラルディーニ：レンツォ・リッチ
• - コリンナ・ジラルディーニ：マリー・ベル
• - フォスカ：アマリア・トロイアーニ
• - ピエトロ・フォルマーリ：フレッド・ウィリアムズ

『熊座の淡き星影』は、深いテーマと緊張感あふれるドラマが織り交ぜられた作品となっており、観る者の心に強く訴えかける映画です。

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