熊本市交通局9700形電車

熊本市交通局9700形電車について

熊本市交通局9700形電車は、熊本市内で運行される路面電車の一部として1997年に営業運転を開始した、画期的な超低床電車です。この車両は、100%低床構造を持ち、2001年までに計5編成10両が登場しました。9700形はドイツの車両メーカーが開発した超低床電車を基に、日本国内のメーカーによって改良が加えられたものです。

導入の背景

9700形が導入されるまで、熊本市電は1979年までに廃止が予想されていました。しかし、オイルショックなどの影響で交通局は市電全廃の計画を見直し、以後は積極的な投資を行うことになりました。これにより急速に新型車両やインフラが整備されていきました。

1990年代に入り、熊本市交通局は市電を基幹交通とするために、超低床電車の導入を模索しました。この時、ヨーロッパで開発されていた超低床車両に注目し、国内のメーカーと協力して技術導入を進めることが決定されました。

車両の特徴

デザインと構造

9700形は、全高が3.546メートル、車体幅が2.35メートルで、標準的な路面電車としては非常に低い床面の高さを実現しています。これにより、乗降時の利便性が大幅に向上しました。乗客の乗り降りのための出入口は、進行方向ごとに異なる配置になっていて、使用するドアの運用を効率化しています。

車内配置

車内には、充実した乗客スペースが確保されています。また、座席配置では車椅子スペースを設けるなど、多様な利用者に合わせた工夫がなされています。定員は76名、その中で座席定員は24名となっており、車掌が同乗した場合の実質的な定員は23名に限られます。

技術と装備

9700形の台車や主要機器はドイツ・アドトランツから輸入されており、先進的な車両運行をサポートしています。主電動機は三相誘導電動機を使用し、高い出力を実現しているため、スムーズな走行が可能です。またブレーキ装置には電気ブレーキと機械ブレーキの両方が搭載され、安全性にも配慮されています。

運行の歴史

9701AB（1次車）は1997年8月に営業運転を開始し、その後多くの乗客から支持を得て、運行本数も増加しました。その後、1999年と2001年には2次車と3次車が導入され、さらに利用者の利便性を高めていきました。

開発の意義

9700形電車は、国内初の100%低床電車としてだけでなく、新しい都市交通の形を模索する上での先進的な取り組みとしても評価されています。これにより、車両のデザインや利便性、乗り心地が向上し、高齢者や障がい者にも優しい公共交通機関となりました。

現在の状況

今後も9700形電車は、熊本市内のインフラとして重要な役割を果たし続けることが期待されており、特に観光や地域活性化にも寄与する交通手段として、その存在意義が高まることでしょう。また、新造車両やリニューアルも進む中、さらに現代的なデザインと技術を取り入れることで、熊本地域の都市交通の発展が期待されます。

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