熊本洋学校教師館ジェーンズ邸

熊本洋学校教師館ジェーンズ邸について

熊本洋学校教師館ジェーンズ邸は、熊本県熊本市中央区に位置する歴史的建造物です。この建物は、明治時代初期に熊本藩が招いたアメリカ人教師リロイ・ランシング・ジェーンズとその家族のために、熊本城近くに建てられました。

発祥と歴史

1871年、熊本藩は熊本洋学校を開設し、ジェーンズを教師として迎えました。ジェーンズ邸は、長崎の大工が、大浦居留地のデント商会建物を参考に建設しました。洋風の意匠を取り入れつつ、日本の伝統的な工法も用いられた独特の建築様式が特徴です。

洋学校は1876年に閉鎖されましたが、ジェーンズ邸はその後、様々な用途で使用されました。西南戦争時には政府軍の本営となり、佐野常民が博愛社（後の日本赤十字社）の設立許可を得た場所でもあります。その後も県庁官舎、高校職員室、日露戦争後のロシア兵収容所など、時代とともにその役割を変えてきました。

1932年には日本赤十字社の所有となり、記念館や診療所、血液センターとしても利用されました。建物は度重なる移築を経て、1970年に熊本市中央区水前寺に移築され保存されました。同年には熊本市指定文化財、翌年には熊本県指定重要文化財に指定されました。

倒壊と再建

2016年の熊本地震により、ジェーンズ邸は甚大な被害を受け、建物は倒壊しました。当初、熊本市は修復を困難としていましたが、地元住民の熱意や専門家の尽力により、再建計画がスタートしました。

熊本県立大学も「ジェーンズ邸復興プロジェクト」を立ち上げ、再建を支援。2023年3月17日、再建工事が完了し、同年9月1日より一般公開を再開しました。再建にあたっては、創建当時の姿を可能な限り再現することを目指し、創建時の部材を最大限に再利用、外壁の色も創建当時の「鼠漆喰」となりました。

建築様式

ジェーンズ邸は木造2階建てで、外観は「ベランダ・コロニアル」という様式を取り入れています。洋風のデザインが目を引きますが、主要な構造は日本の伝統的な軸組工法を採用。2階ベランダの柱間に見られるスパンドレルの装飾が、擬洋風建築としての特徴を際立たせています。土塗り壁と瓦葺きの屋根は、日本の伝統的な要素を加えています。

参観案内

• - 営業時間: 9時30分 - 16時30分
• - 休館日: 月曜日（祝日の場合は翌火曜日）、12月29日 - 1月3日
• - 所在地: 熊本市中央区水前寺公園12番10号

アクセス

• - 公共交通機関:

- JR豊肥本線 新水前寺駅下車、熊本市電 新水前寺駅前停留場より健軍町行き乗車、市立体育館前停留場下車、徒歩約3分。
- 産交バス、都市バス、電鉄バス「水前寺公園前」下車、徒歩約2分。

まとめ

熊本洋学校教師館ジェーンズ邸は、明治時代から現代へと続く歴史を刻み、地震による倒壊と再建を経て、その価値を改めて示しました。異文化交流の象徴であり、地域の文化遺産として、今後もその姿を後世に伝えていくことでしょう。

詳細については、熊本市観光情報ガイドや熊本市ホームページも参考にしてください。

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