熊谷喜一郎 (内務官僚)

熊谷喜一郎

熊谷喜一郎（くまがい きいちろう）は、1866年（慶応2年）に生まれ、1949年（昭和24年）に没した日本の内務官僚です。彼は、樺太庁民政長官や官選県知事を務め、その行政手腕を発揮しました。

生い立ちと初期のキャリア

熊谷喜一郎は、1866年5月26日に江戸で熊谷禎蔵の長男として誕生しました。1892年には帝国大学法科大学を卒業し、内務省に入省。社寺局に配属されました。その後、北海道庁参事官、内務書記官、拓殖務省書記官、農商務省・陸軍省・内務省の各参事官、兼台湾総督府事務官など、数々の要職を歴任しました。

樺太庁民政長官として

1905年8月、樺太民政署が設置されると、熊谷喜一郎は初代民政長官に就任しました。1907年4月には、樺太民政署が樺太庁に改編され、引き続き民政長官を務めました。しかし、樺太庁長官の楠瀬幸彦との不仲が原因で、1908年4月24日に両名とも更迭されることになります。

山梨県知事時代

1908年6月12日、熊谷喜一郎は山梨県知事に就任しました。県民からは「蛸入道」という異名で親しまれる一方で、その行政手腕は高く評価されていました。特に、明治40年の大水害からの復興に尽力し、県民の生活再建に大きく貢献しました。1912年には、皇太子嘉仁親王（後の大正天皇）の山梨県行啓が行われ、熊谷は事前に上京してその準備に奔走しました。また、同年12月14日には、江戸時代の甲府藩主で大老格であった柳沢吉保への贈従三位の策命使を務めました。

その後のキャリア

1913年6月、熊谷喜一郎は山梨県知事を休職し、1914年4月には石川県知事に就任しました。しかし、1915年4月には石川県知事を辞任し、官界を退きました。

家族

熊谷喜一郎の家族には、以下のような人々がいました。

父：熊谷禎蔵（山口県出身、東京府平民）
弟：田中鉄二郎（弁護士、弁理士、特許局次長）
妻：ヨシ（東京銀行元支配人・草刈隆一の長女）
長男：熊谷禎一
二男：草刈甲二（三菱銀行常務、野間奉公会監事）


特に、二男の草刈甲二は、三菱銀行の重役を務める一方で、講談社とも関わりがありました。

栄典

熊谷喜一郎は、その功績を認められ、以下の栄典を授与されました。

1906年（明治39年）4月1日 - 勲三等旭日中綬章
* 1910年（明治43年）12月10日 - 従四位

著書

熊谷喜一郎は、著書として『要塞地帯法講義』（1900年）を執筆しています。

まとめ

熊谷喜一郎は、明治から大正にかけて、内務官僚として地方行政に大きく貢献した人物です。特に、樺太庁民政長官や山梨県知事としての実績は特筆すべきものであり、その功績は後世に語り継がれています。

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