熊谷憲一

熊谷憲一：内務官僚から政治家への道

熊谷憲一（くまがい けんいち）は、1895年（明治28年）10月2日に福岡県で生まれ、1956年（昭和31年）10月9日に61歳で亡くなった、日本の内務官僚、政治家です。彼は、官選県知事、北海道庁長官、そして衆議院議員を歴任しました。

生い立ちと学歴

熊谷は、裁判所吏員であった熊谷澄の長男として生まれました。小倉中学、第五高等学校を経て、1920年7月に東京帝国大学法学部法律学科（独法）を卒業しました。在学中の1919年10月には高等試験行政科試験に合格しており、その才能が早くから開花していたことが伺えます。

内務官僚としてのキャリア

大学卒業後の1920年10月、熊谷は農商務省に入省し、農商務属として工務局労働課兼工務課に勤務しました。その後、1922年11月に内務省へ転じ、社会局属として第二部保険課に配属されました。内務省では、保険部経理課長、社会局庶務課長、大臣官房会計課長、そして厚生省職業部長といった要職を歴任し、行政官としての能力を発揮しました。

1939年9月には岡山県知事に就任し、地方行政の長として手腕を発揮しました。その後、1940年2月には内閣情報部長に、同年8月には厚生省社会局長に就任し、中央官庁の要職を歴任しました。さらに、1941年4月から10月にかけては大政翼賛会総務局長を務め、戦時体制下において重要な役割を担いました。

1943年7月には山口県知事に任命され、その後、1944年7月には防空総本部次長、1945年4月には北海道庁長官に就任しました。1945年6月10日から同年10月31日までは北海地方総監を兼任し、終戦直後の混乱期において北海道の行政を担いました。

戦後の政治家としての活動

戦後、熊谷は公職追放の対象となりましたが、1951年8月に解除されました。1952年10月には、第25回[[衆議院議員総選挙]]に福岡県第1区から自由党公認で出馬し、見事当選を果たしました。その後、1955年2月の第27回総選挙まで連続3期当選し、衆議院議員として活躍しました。議員在任中には、自由党政務調査会行政部長などの要職を務めました。しかし、1956年10月9日に現職のまま急逝しました。

著作

熊谷は、行政官としての経験を活かし、以下の著作を出版しました。

『疾病保険論』巌松堂書店、1929年
『改正健康保険法精義』巌松堂書店、1935年

これらの著作は、当時の社会保険制度に関する研究において重要な資料となっています。

栄典

熊谷は、その功績を称えられ、以下の勲章を受章しました。

1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章
1943年（昭和18年）10月9日 - 勲三等瑞宝章

まとめ

熊谷憲一は、内務官僚として、また政治家として、日本の近代史において重要な役割を果たしました。彼の行政手腕と政治的リーダーシップは、今日の社会にも多くの教訓を与えてくれます。特に、戦前、戦中、戦後という激動の時代を生き抜き、それぞれの時代で重要な役職を担ったことは特筆すべきでしょう。

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