熱河省 (中華民国)

熱河省の概要

熱河省（ねっかしょう）は、かつて中華民国から始まり、満洲国を経て中華人民共和国初期まで存在した省です。この地域は現在の河北省、遼寧省、内モンゴル自治区の一部にあたります。また、熱河は英語では「Jehol」とも称されており、こちらはその音訳に基づいた名称です。

地理

熱河省は地形的に大きく二つの部分に分かれています。西部にはモンゴル高原が広がり、東部は平坦で広い台地が特徴です。この地理的特徴は、歴史的な風土や文化に影響を与えました。

歴史

清代において、熱河省はジョーオダ盟、ジョソト盟、チャハル盟の一部として位置していました。1914年2月、中華民国はこれらの地域に熱河特別区を設置し、直隷省から国民政府の直轄地としました。この時期に熱河道が設置され、旧直隷熱河都統が管轄する14県と、内モンゴルの各盟の一部が統括されました。

1928年9月17日、国民政府は熱河道を正式に熱河省に昇格させ、県と旗を管理する体制を整えました。その際、承徳県が省会に指定され、初代省主席には奉天系の軍閥、湯玉麟が任命されました。しかし、1933年に入ると日本軍による占領が始まり、その後は満洲国の領土として位置付けられました。

1945年、満洲国の崩壊後、名目上は中華民国政府に回収されましたが、実際には中国共産党の支配下に置かれました。新たに寧城県、凌南県、魯北県、天山県が設置され、熱河省は20県20旗を管轄しました。1949年の中華人民共和国発足時点では、2市16県4旗を統治していました。

沿革

1928年9月、国民政府によって熱河道が熱河省へと昇格された一方、1948年11月には中国共産党が承徳を占領し、中華民国の実効支配が失われました。

歴代長官

熱河省の歴代長官は、以下のように変遷しています。

• - 熱河都統（北京政府）

- 熊希齢：1912年4月 - 1913年7月
- 姜桂題：1913年8月 - 1921年9月（署理）
- 汲金純：1921年9月 - 1922年5月
- 王懐慶：1922年5月 - 1924年7月
- 米振標：1924年7月 - 12月（署理）
- 闞朝璽：1924年12月 - 1925年12月
- 宋哲元：1925年12月 - 1926年4月
- 湯玉麟：1926年4月 - 1928年12月（1927年8月まで署理）

• - 熱河省政府主席（国民政府）

- 湯玉麟：1928年12月-1933年3月
- 繆澄流：1940年5月-1941年12月
- 劉多荃：1941年12月-1948年2月
- 范漢傑：1948年2月-1948年6月
- 孫渡：1948年6月-1949年12月

行政区画

熱河省は、下部に20県と20旗を置いていました。具体的には以下の通りです。

県

• - 承徳県
• - 灤平県
• - 平泉県
• - 隆化県
• - 豊寧県
• - 凌源県
• - 朝陽県
• - 阜新県
• - 建平県
• - 綏東県
• - 赤峰県
• - 開魯県
• - 林西県
• - 囲場県
• - 経棚県
• - 林東県
• - 魯北県
• - 天山県
• - 寧城県
• - 凌南県

旗

• - 喀喇沁右翼旗
• - 喀喇沁中旗
• - 喀喇沁左翼旗
• - 土黙特右翼旗
• - 土黙特左翼旗
• - 唐古特喀爾喀旗
• - 錫埒図庫倫旗
• - 巴林右翼旗
• - 巴林左翼旗
• - 克什克騰旗
• - 翁牛特左翼旗
• - 翁牛特右翼旗
• - 敖漢左翼旗
• - 敖漢右翼旗
• - 敖漢南旗
• - 奈曼旗
• - 喀爾喀左翼旗
• - 扎魯特左翼旗
• - 扎魯特右翼旗
• - 阿魯科爾沁旗

熱河省は、日本と共産党の影響を受けながら数度の区分変更がなされ、時代の移り変わりとともに様々な歴史を刻んできました。

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