燃えろ水戸の夏まつり

燃えろ水戸の夏まつり

「燃えろ水戸の夏まつり」は、日本の歌手、橋幸夫によって歌唱された楽曲であり、彼の通算170枚目のシングルとして2004年8月14日にビクターエンタテインメントから発売されました（規格品番 NCS-433）。このシングルは、水戸の夏祭りをテーマに、地域の活性化と祭りの復権という明確な目的を持って制作された点が大きな特徴です。

橋幸夫は、デビュー曲である「潮来笠」の舞台となった潮来市をはじめ、水戸黄門まつりにおいては不可欠な存在である「黄門ばやし」も歌唱するなど、以前から茨城県と深いつながりを持っていました。「黄門ばやし」は公式なシングルリストには掲載されていませんが、水戸市民の間では広く知られている楽曲です。このような背景の中、「燃えろ水戸の夏まつり」の制作が具体的に動き出したのは、2003年に行われた橋幸夫と、彼の長年のファンであり、茨城トヨペットの社長を務める幡谷定俊氏（幡谷グループ代表、幡谷祐一氏の長男）との会食での出来事がきっかけでした。この時の話し合いで、両者は「祭りの復権」という話題で意気投合し、「盆踊りを中心とした町興しにも繋がるような楽曲を」という共通の認識のもと、本楽曲の制作が企画されました。

楽曲の制作陣には、作詞に地元である茨城県出身の長山たかのり氏が起用されました。作曲は、橋幸夫自身が「勅使原煌」名義で手がけています。編曲についても、同じく地元出身の松井忠重氏が担当しており、地域との連携を重視した布陣となっています。

この楽曲は、発売日と同日である2004年8月14日に、水戸市の千波公園ふれあい広場で開催された第1回「燃えろ！元気！水戸まつり」において初めて披露されました。橋幸夫自身もこのイベントに名誉会長として出席し、楽曲を通じて祭りのスタートを盛り上げました。

シングルのカップリング曲には「お元気人生」が収録されています。こちらの楽曲の作詞は神原一敬氏、作曲と編曲はA面曲と同じく勅使原煌（橋幸夫）と松井忠重氏が担当しています。

「燃えろ水戸の夏まつり」の発表後も、橋幸夫は祭りの復権というテーマを継続的に追求しました。翌年には「盆ダンス」、さらにその翌年には「花火音頭」といった、祭りや踊りをテーマにした楽曲を立て続けにリリースしています。特に「花火音頭」のカップリングには、「燃えろ水戸の夏まつり」の歌詞中の「水戸」を「日本」に置き換えた「燃えろ日本の夏まつり」が再録されており、楽曲に込められたメッセージをより広範囲に向けて発信しようとする意図が見られます。

本楽曲「燃えろ水戸の夏まつり」は、2005年12月16日に発売された橋幸夫の芸能生活45周年を記念するアルバム『歌の架け橋』（規格品番 VICL-61843～5）のDisc3に収録されています。また、再録バージョンである「燃えろ日本の夏まつり」は、2015年10月28日発売のCD-BOX『橋幸夫ベスト100+カラオケ15』のDisc5に収められています。

このように、「燃えろ水戸の夏まつり」は、橋幸夫と茨城県の長年の関係、そして地域活性化への強い願いが結実した作品であり、水戸の夏を彩る楽曲として、また橋幸夫の地域貢献活動を象徴する一曲として位置づけられています。水戸市の観光サイトなどでも、「黄門ばやし」と並んで祭りに関連する楽曲として紹介されることがあります。

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