爆発! 暴走族

映画『爆発! 暴走族』の概要

『爆発! 暴走族』は、1975年9月20日に公開された日本映画で、岩城滉一が主演となる暴走族シリーズの第一弾です。この作品は、監督として名高い石井輝男が手がけ、当時の若者文化に影響を与えた重要な映画となっています。全編カラーで86分という短い時間で、暴走族の実態をセミドキュメンタリータッチで描いています。

作品の背景と制作経緯

1975年頃、日本で暴走族が社会現象としてメディアに取り上げられるようになったことを受け、東映はその文化を題材にした映画を企画しました。岩城滉一は、ロックバンド「キャロル」の解散コンサートで名を馳せたバイクチーム「クールス」の副団長として紹介され、70万円のギャラを提示されて主演に抜擢されました。この時期の東映は、新しいトレンドを捉えた映画を制作することに積極的であり、暴走族の存在は「不良性感度」の象徴と見なされました。

キャストと登場人物

映画のキャストも多彩で、岩城滉一が演じるのは暴走族ブラックパンサーのリーダー。他にも元世界的レーサーの兄を演じた千葉真一や、岩城の恋人役の藍とも子などが出演しています。また、暴走族「紅バラ会」や「地獄グループ」など、複数の暴走族が物語に関与し、それぞれのキャラクターが織りなす人間ドラマも見どころです。

監督と脚本

監督には石井輝男が起用され、彼の手腕によって暴走族のリアルな側面が描かれました。脚本は松本功が担当し、暴走族が週末にバイクを走らせる理由や彼らの生活に迫る形でストーリーが展開されます。時には荒唐無稽なシーンも織り交ぜられ、観客に強い印象を与えました。

撮影と技術

撮影は、東京撮影所のセットを利用して行われ、多くの暴走族の協力を得ながら制作が進められました。リアルなバイクの走行シーンにこだわり、俳優たちも自ら運転を担当しました。その結果、撮影中はトラブルが続出し、時には警察とのやりとりもあったと伝えられています。

興行成績と評価

公開当時、映画はそれほどの好成績を収めたわけではありませんが、それでも1億円近い興行収入を記録し、続編制作への道が開かれました。川本三郎の評では、暴走族がオートバイに乗っていない姿が大きく扱われる一方で、肝心の「暴走」シーンは物足りなさがあるというものです。

映画の影響

本作は以降、暴走族をテーマにした映画が数多く製作されるきっかけとなり、特に1980年代以降には漫画や実写作品が増えるなど、その影響力は計り知れません。また、暴走族文化がストリートで注目されることで、多くの若者が芸能界へ進出する道を開くことにもなりました。

総括

『爆発! 暴走族』は、1970年代の日本における文化的な現象を反映した映画として、単なるエンターテインメント以上の価値を持っています。本作は今もなお、日本映画史における重要な作品の一つとして名を残しています。

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