爆発反応装甲

爆発反応装甲（ERA）の概要

爆発反応装甲（ばくはつはんのうそうこう、英: Explosive Reactive Armour、ERA）は、主に戦車などの追加装甲として用いられる特殊な技術です。具体的には、外部からの攻撃に対抗するために設計された反応装甲の一形態であり、その革新的な設計によって戦車の生存能力を大幅に向上させることができます。

構造と機能

爆発反応装甲は、金属製のケースに薄い爆薬シートを組み込んだ構造を持っています。敵の砲弾や成形炸薬が当たると、それに応じて爆薬が起爆し、金属板が急速に外側に吹き飛びます。この瞬間に形成されるメタルジェットの進行を妨げることで、戦車の中心装甲を貫通するのを防ぎます。

特に、爆発反応装甲は斜めに当たった場合に最も効果を発揮します。通常、30度の角度での攻撃が理想とされており、直角に当たった場合には効果が薄れてしまいます。この特性は、戦場における実際の装甲保護のダイナミクスにおいて非常に重要です。

歴史的背景

爆発反応装甲の概念は、ドイツ人研究者マンフレート・ヘルト博士によって開発され、1970年に特許が取得されました。その後、イスラエルが最初に実用化し、特に1973年の第四次中東戦争を経て、イスラエルのメルカバ戦車において「ブレイザー」と呼ばれるシステムとして導入されました。この装甲は、エジプト軍のソ連製対[[戦車ミサイル]]によって受けた損害を受けて開発され、後に実戦でその効果を証明しました。

レバノン戦争での使用により、その有効性が実証され、以降も多くの国で採用されるようになりました。特にロシアやアメリカは、ソ連製の戦車にこの技術を導入し、自国の戦車の近代化を進めました。

現代の課題と発展

しかし、爆発反応装甲はすべての状況で信頼性のある防御措置ではありません。具体的には、タンデム式弾頭や一部の鋭い弾が装甲を突破する可能性があることから、完全な防護を保証するものではないとされています。例として、ロシアとウクライナの紛争において、米国製の「ジャベリン」がロシアのT-90戦車に対して大きな損害を与えた事例があります。

このような新たな脅威に対抗するため、ロシアの新型装甲「コンタークト5」などは、設計が進化してきています。複数層の装甲をもって弾種ごとに異なる特性を持つようにすることで対応しており、爆発反応装甲の技術も進化を続けています。

装備状況

現在、旧東方諸国の多くの戦車に爆発反応装甲が装備されています。また、アメリカやフランスといった他国でも、戦後の第2世代戦車の改修に利用されており、さまざまなモデルが存在します。しかし、イスラエルでは近年、運動エネルギー弾への対抗策としてスペースドアーマーや複合装甲に重点が置かれ、使用頻度は減少しています。

まとめ

爆発反応装甲は、戦慄的な防御力を提供する重要な革新的技術であり、現代の兵器に対抗する上での重要な手段の一つとされています。戦場での生存率を高めるために継続的な研究と開発が行われることが予想され、今後の進化から目が離せません。

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