父系制

父系制 (Patrilineality)

父系制とは、父方の祖先から子孫へと、男性のみを通じて受け継がれる系譜を重視する社会構造のことです。ただし、父系制という言葉は、純粋な父系制から母系制に近いものまで、連続的な概念として理解する必要があります。対義語は母系制です。

父系制の特徴

父系制社会には、一般的に以下の特徴が見られます。

父系出自: 子供が父方の姓を受け継ぐ。
父系継承: 息子が父方の地位や職を受け継ぐ。
父系相続: 息子が父方の財産を相続する。

父系制と類似した概念に「家父長制」がありますが、父系制は家父長制の基礎となる志向性の一つと言えます。家父長制ほど、社会的な支配と直接的に結びついているわけではありません。

日本における父系制

日本の皇室は、皇室典範により父系制が採用されています。ただし、政治的権限を持たないという点で、家父長制とは異なります。一方、一般の日本国民は、明治憲法下の家父長制的な体制から、第二次世界大戦後の民法改正により、法的には双系制へと移行しました。しかし、中世以来の父系制の影響は、皇室の父系制も相まって、現代社会にも根強く残っています。

その他の事例

韓国: 韓国は宗族を基盤とする父系制社会でしたが、同姓同本不婚の規定が1997年に違憲判決を受けました。北朝鮮では、独立後間もなく宗族制度が廃止されています。

関連用語

男系
母系制
家父長制・家制度
宗族
創氏改名
本貫
夫婦別姓
父系言語仮説

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