片歌

片歌（かたうた）とは

片歌は、日本の古代歌謡の一形式で、五・七・七の三句、計十九音で構成される短い歌です。主に『古事記』や『日本書紀』などの記紀歌謡に見られ、その多くは問答形式で用いられました。感情が思わず口をついて出たような短い歌であり、その特徴から、古代の人々の素朴な感情表現をうかがい知ることができます。

片歌の特徴

構成: 五・七・七の三句（計19音）
形式: 主に問答形式で使用
用途: 古代歌謡、感情表現

片歌は、単独で用いられるだけでなく、二首組み合わさることで「旋頭歌（せどうか）」という形式になります。片歌が素朴な感情表現であるのに対し、旋頭歌は、より複雑な感情や状況を表現するために用いられました。

建部綾足（たけべあやたり）による片歌の再解釈

江戸時代中期の国学者であり俳人でもあった建部綾足は、独自の視点から片歌を捉え直しました。彼は、俳諧の発句を片歌と見なし、五・七・五の形式を「短歌片歌」、五・七・七の形式を「旋頭歌片歌」と分類しました。これは、俳諧をより雅な文芸へと引き上げようとする試みであり、俳諧が和歌や連歌と深く関わっていたことを示すものです。

建部綾足の片歌説

俳諧の発句を片歌と捉える
五・七・五を短歌片歌、五・七・七を旋頭歌片歌と分類
俳諧の雅化を目指す

綾足の片歌説は、俳諧の季題を見直したり、故人の情感を追体験したりするものでした。例えば、古い俳諧の句を片歌と捉え、その背景にある感情や情景を深く掘り下げようとしました。しかし、彼の説は一部の俳人にしか受け入れられず、主流にはなりませんでした。しかし、和歌と俳諧の接点である連歌を通して門人を和学へと導いた功績は評価されています。

建部綾足の片歌説の意義

俳諧と和歌のつながりを再認識させた
連歌を通して門人を和学に導いた
* 俳諧の表現を深める新たな視点を提供した

片歌は、古代から連綿と続く日本の歌謡文化の一端を示すものです。建部綾足による再解釈は、その歴史的な意味をより深く理解する上で重要な視点を与えてくれます。片歌は、短いながらも、人々の感情や文化を伝える力強い表現形式であると言えるでしょう。

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