牙城会

牙城会（がじょうかい）

創価学会において、男子部（18歳から40歳までの男性会員）を中心に編成され、各地の会館の自主的な警備を担当する人材グループです。この活動は、創価学会員にとって仏道修行の一部と位置づけられており、無償での奉仕によって行われています。

概要と目的

牙城会メンバーは、創価学会の歴史や理念を学び、広宣流布の達成に向けた唱題の実践と弘教を活動の基盤としながら、会館の安全を守る警備活動に従事します。仏道修行の一環としての無償奉仕を通じて、自身の信仰を深めるとともに、来訪者への細やかな心遣いを学び、社会に貢献できる人間へと成長することを目指しています。シンボルマークは「獅子」が用いられています。

体制と活動

牙城会は、関連組織である創価班を含め、約7万人規模の体制を維持しています。会館警備にあたる人数は、会館の規模によって異なりますが、通常は2名から7名程度で構成されます。大規模な会合が開催される際には、さらに多くのメンバーが警備にあたることもあります。

警備のシフトは年間を通じて組まれており、活動時間は主に平日や土曜日の夜間（概ね18時または18時30分から閉館まで）です。休日は、午前から終日となることが多く、警備体制は二部制または三部制となる場合があります。

長年にわたり牙城会活動に貢献したメンバーに対しては、創価学会から感謝の意が示されます。具体的には、10年間の活動に対して表彰状が、15年間の活動に対しては表彰状に加え記念メダルが授与されます。

牙城会メンバーは、原則として18歳から40歳までの男子部員です。40歳を迎えると、創価学会の壮年部員となるため、牙城会としては「卒業」となり、活動を終えます。卒業後は、壮年部員で構成される会館警備グループである王城会などで引き続き奉仕する道もあります。

歴史

創価学会では、かつて座談会や協議会などの小規模な会合を会員の自宅で行っていました。しかし、1970年代に入り日本の住宅事情の変化に伴い、全国各地に礼拝や会合のための施設として創価学会の会館が次々と建設されるようになります。これに伴い、会館の安全を確保するための自主警備体制の必要性が高まりました。

当初、会館警備は地域ごとに「当番」や「会館警備」といった名称で行われていましたが、広宣流布の本陣である会館を護り、その使命を担う人材を育成することを目的に、1971年2月1日に「牙城会」として正式に発足しました。会館警備を仏道修行の一部と定めることで、単なる警備業務にとどまらず、信仰を深め、人間性を向上させる場としての役割も持たせています。

組織と活動の実際

牙城会メンバーは、年間シフトに基づき、会館警備の任務を無償で担います。組織としては、東京都新宿区信濃町にある創価学会総本部の警備を担当する専門部隊「総本部牙城会」と、各地の地域会館の警備にあたる「会館警備」に大別されます。活動にあたっては、日蓮仏法の信仰者として、日々の勤行・唱題の実践を大切にしながら、会館を訪れる人々への温かい心遣いを忘れないよう心がけています。

関連する出来事

牙城会は、創価学会の施設警備を担う中で、外部からの衝突や事件に遭遇したこともあります。

創価学会本部襲撃事件 (1974年)

1974年10月4日、正本堂建立を巡る教義上の対立から、当時の妙信講（現在の冨士大石寺顕正会）の信者約70名が、東京都新宿区信濃町にある創価学会本部（創価文化会館）に対し抗議行動を起こしました。一部の信者は街宣車で敷地内に強行突入し、これに対し会館警備にあたっていた牙城会メンバー約50名と妙信講信者との間で乱闘騒ぎに発展しました。事態を重く見た創価学会側は警視庁に機動隊の出動を要請し、妙信講信者は警察によって強制的に排除されました。この事件で、妙信講信者12名が創価学会敷地内への不法侵入容疑で逮捕されています。この出来事は、当時の主要な新聞（読売新聞、朝日新聞など）でも報じられました。

池田大作サリン襲撃未遂事件 (1993年)

1993年の11月および12月、オウム真理教が創価学会名誉会長である池田大作氏の暗殺を企てた事件が発生しました。オウム真理教は、敵対視していた池田大作氏を標的とし、東京都八王子市の創価大学キャンパスや、初代会長・牧口常三郎氏の名を冠した「東京牧口記念会館」に猛毒のサリンを散布しました。この時、東京牧口記念会館の警備にあたっていた牙城会メンバー数名が、一時的な視力低下や倦怠感といったサリン中毒に特徴的な症状を訴えました。しかし、池田氏の暗殺には至らなかったため、創価学会側はこの件について警察への通報や被害届の提出を見送りました。この事件は、1995年に発生した地下鉄サリン事件を含む一連のオウム真理教関連事件の刑事裁判の中でその詳細が明らかになりました。

組織体制と役職

牙城会には、組織運営と任務遂行のために様々な役職が設けられています。委員長を筆頭に、副委員長、警備長、運営委員、言論企画部長、主任部長、部長、班長といった役職があります。また、活動内容に応じて警備局、言論企画局、大学校事務局といった局が設置されており、それぞれに局長が任命されています。

関連グループ

創価学会には、牙城会と同様に特定の役割を担う男子部、女性部、壮年部のグループが存在します。

創価班（そうかはん）: 18歳から40歳までの男子部員で構成され、主に創価学会の会合運営を担います。
金城会（きんじょうかい）: 創価学会名誉会長である池田大作氏の身辺警護を担当するグループです。
白蓮グループ（びゃくれんグループ）: 30歳以下の未婚の女性部員で構成され、会合運営などの活動を行います。
王城会（おうじょうかい）: 牙城会や創価班のOBを含む40歳以上の壮年部員で組織され、会館の警備を担当します。
* 香城会（こうじょうかい）: 既婚の女性部員で構成され、会合運営などを担います。

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