牛かたロース

牛かたロースとは

牛かたロースは、日本の食肉小売品質基準で定められた牛肉の部位の一つです。牛の背中、肩甲骨付近に位置し、関西地方ではクラシタという名でも親しまれています。

概要

牛かたロースは、牛肉の中でも比較的大きな部位であり、赤身と脂肪のバランスが取れているのが特徴です。しかし、その大きさゆえに、首側（ネック側）と腰側（リブロース側）で食感が大きく異なる点に注意が必要です。

一般的に「ロース」や「牛ロース」と呼ばれることもありますが、牛リブロースやサーロインと比較すると、比較的安価で手に入ります。薄切り、厚切り、ブロックなど様々な形態で販売され、焼く、煮る、炒めるなど、多様な調理法に対応できます。

ステーキ用としても販売されていますが、筋が複雑に入り組んでいるため、ステーキには不向きという意見もあります。ヒレ、サーロイン、リブロースといった高級部位よりも安価であるため、見栄えを重視してステーキ用として販売されているケースもあると考えられています。ただし、薄切りにすれば筋は気にならなくなるため、すき焼きやしゃぶしゃぶなどには最適です。

クラシタ（鞍下）

関西地方で「クラシタ」と呼ばれるのは、牛や馬に鞍を置いた際に、その真下にあたる部位であることに由来します。また、牛かたロースを上下に分け、上部をクラシタ、下部をザブトン（ハネシタ）と区別することもあります。

ザブトン（ハネシタ）

牛かたロースの中でも、肋骨側に続く部位は「ザブトン」と呼ばれます。四角い形状に切り出すことができるため、座布団を連想して名付けられました。牛一頭からわずか数キログラムしか取れない希少部位であり、最も霜降りが多く、非常に柔らかいのが特徴です。別名「ハネシタ」とも呼ばれます。

アメリカではチャックアイフラップ（chuck eye flap）と呼ばれています。日本の焼肉店などでは、「特上ロース」や「特上カルビ」といった名称で提供されることもあります。

チャックロール

チャックロールは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどのオセアニア地域で用いられる牛肉の部位で、日本に輸入される際には牛かたロースとして分類されます。アメリカではチャックアイロール（chuck eye roll）とも呼ばれます。

牛の首から肩にかけての肉で、第5肋骨から第6肋骨間で切り離した前から、牛かた、牛ネック、かたばらを除いた部分肉を指します。

チャックアイログ

アメリカでは、チャックロールの芯の部分をチャックアイログ（chuck eye log）と呼びます。日本では「かたロース芯（かたロースしん）」と呼ばれ、きめ細かい肉質で非常に柔らかく、適度な脂肪も含んでいるため、幅広い料理に活用できます。食味が良い割に安価なのも魅力です。

牛ロースという表示について

日本の小売店では、食肉小売品質基準に基づき、牛かたロース、牛リブロース、サーロイン、牛ヒレの混合肉を「牛ロース」と表示することが認められています。

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