牛岐城

牛岐城（うしきじょう）

牛岐城は、徳島県阿南市富岡町に位置する日本の城跡です。阿南駅から北西へ約500メートルの場所にあり、周辺は牛岐城址公園として整備されています。この城は、富岡城や浮亀城といった別名でも知られており、海部郡牟岐町にある牟岐城とは異なります。

歴史

牛岐城周辺は、かつて牛牧荘と呼ばれていました。この地域では、多くの牛や馬が飼育されていたと考えられています。その後、この地は中央の権力者や大社寺に寄進され、鎌倉幕府によって地頭職が設けられ、維持・管理されるようになりました。1203年には高野山領となり、1351年には仁和寺領となっています。牛牧荘は、旧富岡町の地区を表し、その政治の中心が牛岐城であったと考えられています。

築城年代は明確にはわかっていませんが、至徳年間（1384年 - 1386年）に細川氏に従っていた新開実重が阿波国に入った際に築城したという説が有力です。この際、浮亀城とも呼ばれていました。

戦国時代の天正10年（1582年）には、城主であった新開実綱（新開道善）が長宗我部元親によって謀殺され、その後、香宗我部親泰が入城しました。天正13年（1585年）には、蜂須賀家政が阿波国を領有し、牛岐城は支城群である阿波九城の一つとして、家老の賀島主水政慶に1万石を与えられ、城代となりました。政慶は入城後、牛岐の地を富岡と改名したため、牛岐城も富岡城と呼ばれるようになりました。

江戸時代の寛永15年（1638年）には、一国一城令により廃城となり、蔵屋敷だけを残して取り壊されました。1768年に描かれた「牛岐・富岡城絵図」は、2010年に阿南市文化財に指定されています。

遺構

牛岐城は、南側が湿地帯、北側が深い川である多門が淵という自然の地形を利用した要害でした。城山はひょうたん型の小山で、中央のくぼんだ所を山越えして通行していました。城の周囲には堀が巡らされていたと考えられていますが、宅地開発などにより遺構のほとんどは失われています。大正2年（1913年）の道路工事で、城山は南北に分断されました。

現在、元の城山の南半分が「牛岐城址公園」として整備されており、頂上には八角形の展望室が設置されています。また、産業記念館（後に牛岐城資料館）建設前の発掘調査では、主郭部分に石垣が発見され、徳島城と同様の野面積みであることが確認されました。元の城山の北半分には、新開遠江守実綱の神社があります。

周辺情報

牛岐城址公園は、青色発光ダイオード（LED）の発祥の地である阿南市にあることから、LEDイルミネーションが施されています。

参考文献

福永素久「阿波国蜂須賀氏の支城「阿波九城」について」『史学論叢』第37巻、別府大学史学研究会、2007年3月、37-59頁

関連項目

徳島県の城

外部リンク

* 牛岐城址公園 - 阿南市

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