牛次郎

牛次郎の波乱万丈な生涯

牛次郎（ぎゅう じろう）は、1940年5月19日、東京市浅草区に生まれました。本名は牛込記（うしごめ き）。

生い立ちと青春時代

父は日本海軍の特務機関に勤務し、母は霊媒師という特殊な環境で育ちました。父親の仕事の関係で、家族は母の旧姓である牛込を名乗っていたそうです。東京大空襲を生き延びた後、牛次郎は学費を稼ぐために新聞配達や鉄工所で働きました。上野高校に入学するも、経済的な理由で中退。その後は工事作業員や喫茶店員を経験し、不良として暴力団と行動を共にする時期もありました。

熱海に移り住んだ牛次郎は、売春街のバーテンダーやレストランのコックとして働いた後、ベーシストに転身。東京に戻り、アルゼンチンタンゴバンドの一員として活動していました。その後、株式会社西陣に入社し、電子楽器を駆使して葬祭用音楽を作曲するユニークな経験をします。西陣退社後は、美容師の妻と共にレストランを経営しましたが、半年で店を売却しました。

執筆活動の開始

西陣での経験を活かし、パチンコ台の攻略法を夕刊フジに持ち込んだことがきっかけで、執筆活動をスタート。ペンネーム「牛次郎」は、自身の姓である「牛込」と、売春街での経験から連想した「牛太郎」をもじったものとされています。フリーライターとして週刊現代やプレイボーイなどでも執筆する傍ら、パチンコを題材にした小説「釘師」を元にした劇画『釘師サブやん』で漫画原作者としてデビューしました。

ビッグ錠とのコンビで『包丁人味平』『スーパーくいしん坊』などの人気作を次々と発表。また、息子の喘息の療養のために熱海に自宅を構えつつ、赤坂にマンションを借りて都内での仕事を続けるという二重生活を送っていたそうです。『包丁人味平』終了後は、一時的に少年漫画から離れ、青年誌での原作提供やテレビドラマの原作・原案を手がけました。

1980年代には、神矢みのる作画の『プラレス3四郎』が人気を博し、その他にも横山まさみちの『やる気まんまん』、赤石路代の『燃えてMIKO』など、様々なジャンルの漫画の原作を手がけました。また、「渡辺寿光」名義で歴史小説、「高田竜史」名義で推理小説も執筆しています。

1981年には、小説『リリーちゃんとお幸せに』で第8回野性時代新人文学賞を受賞。1985年には、東京都建築協会優秀賞も受賞するなど、幅広い分野で才能を発揮しました。

僧侶としての活動

般若心経を題材とした作品を執筆する際に、自身の本名である「記」の意味を知ったことをきっかけに仏教に興味を持つようになり、1986年に臨済宗妙心寺派医王寺で出家。牛込覚心（うしごめ かくしん）という僧侶名になりました。1989年には、自身の設計で静岡県伊東市に願行寺を建立し、管長兼住職として活動しています。

70歳で脳梗塞を患いますが、リハビリを経て復帰。現在も願行寺で活動する傍ら、『ゆれ動心に渇』『生と死の般若心経』など、仏教に関する著書を多数発表しています。

多彩な才能

牛次郎は、漫画原作者、小説家、僧侶、作曲家、建築家と、様々な分野で才能を発揮しています。その波乱万丈な人生経験が、彼の作品に深みを与えていると言えるでしょう。パチンコ業界、漫画業界、仏教界と、それぞれの世界で独自の足跡を残した人物です。彼の作品は、今も多くの人々に愛されています。

主な著書

牛次郎名義
『パチンコ入門』
『パチンコで儲けろ』
『釘師放浪記』
『包丁人味平』
『スーパーくいしん坊』
『リリーちゃんとお幸せに』
『セーラー服通り』

牛込覚心名義
『自然体の般若心経』
『生と死の般若心経』
『臨終 「生」を、全うするために』
『出家のすすめ』

渡辺寿光名義
『我、天下を望まず-毛利元就軍記』
『参謀-黒田官兵衛という生き方』

高田竜史名義
『狼たちの仁義』
『逃走夫人』

漫画原作

『釘師サブやん』
『快傑ライオン丸』
『包丁人味平』
『プラレス3四郎』
『スーパーくいしん坊』
『燃えてMiko』
『FM戦士SUMoキッズ』

実写化作品

『武闘派仁義』(原作:『掟の紋章』)

楽曲提供

西崎みどり「小雨のルンバ」「はじめてのサヨナラ」

脚本提供

* 『快傑ライオン丸』第8話


この文章は、牛次郎氏の波乱万丈な人生と、様々な分野での活躍をまとめたものです。

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