牛田山

牛田山とは

牛田山（うしたやま）は、広島県広島市東区にそびえる標高261.1メートルの山です。行政上の地名としても「牛田山」が存在しますが、ここでは主に自然の山体について解説します。

この山は、茶磨山（最高三角点261m）をはじめとするいくつかのピークが集まった牛田山塊の総称として知られています。地元である戸坂地区では、「西山」や「茶磨山」といった別名で呼ばれることもあります。

地質的には、隆起してできた花崗岩で構成されており、長い年月を経て表面は風化が進み、真砂土に覆われています。山中には多様な植物が茂り、多くの種類の動物も生息するなど、豊かな自然環境が保たれています。

地形的な特徴として、牛田山は住宅地が広がる牛田地区を、見立山、神田山、尾長山、二葉山といった周辺の山々と連なりながら、馬蹄形に取り囲むような独特な山並みを形成しています。これらの山々を含む全長約5キロメートルに及ぶ縦走路は、整備された本ルートに加え、たくさんの枝道も分岐しており、地元住民を中心に多くの人々にハイキングスポットとして親しまれています。

歴史と文化

牛田山の山頂は、歴史的に重要な場所です。16世紀、この一帯を支配していた在地小領主（国人）である戸坂氏の居城、戸坂城（別名：茶臼山城）が築かれていました。現在、城の遺構はほとんど残っていませんが、山頂には手作りのあずまややベンチが設置され、登山者の休憩場所となっています。また、国の定める三角点も設けられており、標高は260.7メートルを示しています。

山頂からほど近い場所には、弥生時代後期の遺跡である「西山貝塚」があります。この貝塚からは、広島県内では類例が少ない独特な形状をした巴形銅器をはじめ、当時の生活を示す土器や鉄器、骨角器などが出土しており、弥生時代の文化や社会を知る上で大変貴重な資料となっています。特に、この西山貝塚は、弥生時代後期に起こったとされる「倭国大乱」の際に、軍事的な施設として利用されていたのではないか、とする見方が有力視されています。

登山とハイキング

牛田山は、そのアクセスの良さと多様なコース設定から、ハイキングや軽い登山を楽しむのに最適な山です。山頂へと続くルートは複数整備されており、市内の様々な場所から気軽に登ることができます。

主な登山口としては、東区スポーツセンター口、牛田旭口、神田山荘口、不動院口（健脚コース・清涼コース）、早稲田小学校口、戸坂桜が丘口、城北グラウンド口、戸坂南口、中山中町口、広島女学院大学口（牛田東口）、大内越口、天神峠東口、天神峠西口、山根口、東照宮口、饒津口など、多岐にわたります。体力や目的に合わせてコースを選べるため、初心者から経験者まで幅広い層が楽しんでいます。四季折々の自然を感じながら、気軽に山歩きができる市民の憩いの場となっています。

行政地名としての牛田山

自然の山体としての牛田山とは別に、行政地名として「牛田山」という町名が存在します。これは牛田山山頂付近に位置するエリアを指し、住居表示は未実施です。この地域は無居住地帯であり、人口は0人です。面積は約82万3311平方メートルとなっています。町内に目立った公共施設などはありませんが、比治山大学短期大学部のグラウンドがこの区域内に含まれています。この行政地名の郵便番号は732-0061です。

牛田山は、その自然の美しさ、歴史的な背景、そして市民に開かれたハイキングコースといった多面的な魅力を持つ山であり、広島市民にとって大切な存在と言えるでしょう。

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