牛肺疫

牛肺疫について

牛肺疫（ぎゅうはいえき）、英語ではContagious Bovine Pleuropneumonia (CBPP)と呼ばれるこの病気は、家畜における深刻な感染症の一つです。この病気の原因となるのは、Mycoplasma mycoides subsp. mycoidesという微生物のSC株で、主にウシやスイギュウ、さらにはシカなどの偶蹄類に感染します。

法定伝染病としての位置づけ

牛肺疫は家畜伝染病予防法に基づく法定伝染病であり、日本国内では特に重要視されています。この感染症は法定伝染病の中で唯一、マイコプラズマを原因とする疾病として特定されています。感染が確認されると、それに対する適切な対策が求められ、感染動物は治療が行われず淘汰されることとなっています。これにより、さらなる感染の拡大を防ぐことが目的です。

症状と感染経路

この病気の主な特徴は、胸膜炎と肺炎が合併することです。症状としては、発熱、咳、呼吸困難などが見られ、重症化すると特有の「大理石様紋様」と呼ばれる肺の変色が観察されます。この病理は、牛肺疫に特有であり、診断の手助けとなります。また、牛肺疫の原因となる菌は、感染した動物との直接接触や、空気中の飛沫核を吸入することで、気道を介して伝播することが知られています。さらに、感染動物の尿が汚染した飼料を介して経口感染も報告されています。

日本における状況

日本では1941年に牛肺疫の感染が報告されたのが最後であり、2023年現在までに発生事例は確認されていません。このことから、日本における牛肺疫の監視体制が効果的に機能していると言えます。牛肺疫は他の感染症に比べて発生頻度が低いものの、その致死性の高さから、飼育者や獣医師は常に注意を払う必要があります。

参考文献

牛肺疫に関する詳しい情報を提供している文献として、清水悠紀臣ほかの『動物の感染症』（近代出版、2002年）や、獣医学大辞典編集委員会の『明解獣医学辞典』（チクサン出版、1991年）があります。これらの資料を通じて、牛肺疫の理解を深めることができるでしょう。

このように、牛肺疫は家畜の健康に対する脅威であり、その感染を防ぐための適切な対策と監視が求められています。

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