牛裂き

牛裂き（うしさき、うしざき）

牛裂きは、戦国時代から江戸時代初期にかけて実施された非常に残酷な死刑の方法です。この方法では、罪のある者の両手と両足がウシの角と縄で結びつけられ、ウシに火を点けた柴を負わせます。その後、ウシは火の恐怖から逃れようと暴れ、その結果、罪人は引き裂かれて死に至るという極めて悲惨な状況が生まれるのです。

このような牛裂きの刑を執行した例としては、美濃の戦国武将である斎藤道三や、会津の蒲生秀行が領内の罪人に対して適用したことが知られています。その後、時代が進むにつれてこの厳しい処刑法は次第に廃れ、保科正之の時代に、釜茹刑と共に法的に禁止されることとなりました。

「牛裂き」という言葉は、歴史書や記録にも登場します。たとえば、江戸時代の文献『倭訓栞』には、堺で切支丹の罪人にこの刑が執行された事例が記されています。また、徳川家康の遺訓にあたる『家康公御遺訓百箇条』では、牛裂きや釜煎といった厳しい刑を、将軍家が実行すべきではないとしています。このように、牛裂きは極端な刑罰として歴史的にも注目されてきました。

さらに、『加賀藩刑事記録索引』には、元和8年（1622年）に、持筒足軽が衆道（男色）に関連して牛裂きに処されたという記録も残っています。このように、牛裂きは特定の罪に対して適用されることがあった一方で、その残虐性からも敬遠されてきた刑罰です。

脚注

牛裂きの残虐さは文献の中にも強く反映されており、時には罪人だけでなく、その家族や地域社会に対しても恐怖を与える手段として機能していました。刑罰の一環として行われる牛裂きは、単に個人の制裁を超えて、社会全体に対する強いメッセージを送るものでした。

関連項目

• - 死刑: 牛裂き刑は、八つ裂きの刑と同様に残酷な死刑の一形態です。
• - 徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑: 1976年に公開された日本映画で、牛裂きをテーマに制作されています。
• - 墨攻: この時代背景を描いた作品で、戦国時代の刑罰文化が描写されています。
• - 三好長治: 彼の逸話も、当時の刑罰の一環としての牛裂きの関連性を示すものがあります。
• - 庶孽党: 1618年の「七庶獄事」において牛裂き刑が言及されています。

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