牧野和春

牧野和春

牧野和春（まきの かずはる、1933年 - ）は、日本の出版人であり、ジャーナリストとしても活動しました。鳥取県に生まれ、慶應義塾大学文学部を卒業後、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。

出版人としての活動

1968年に牧野出版を創立し、精神医学関連の書籍を中心に、幅広いジャンルの出版を手がけました。その後、惜水社の社長も務め、出版を通じて日本の文化や自然に関する情報を発信し続けました。

著書

牧野和春は、多岐にわたるテーマで著書を執筆しています。初期には実用書として『投書と文通の急所』、『結婚礼法のすべて』、『パーティ百科』、『司会の急所 名司会者にする』などを出版しました。その後、『男子新入社員実務必携』、『司会』、『故事ことわざ』といった書籍も手がけています。

1970年代からは、日本の自然や文化、精神史に関する著作が多く見られるようになります。『惜水ノ記』、『木々の風貌』、『鳥取県の手仕事』、『桜の精神史』、『ホウノキの花の咲く頃』、『樹霊千年』、『三重塔紀行』、『八咫烏の森』などを出版し、日本の風景や文化に対する深い造詣を示しました。

1980年代以降は、『神々の記憶 日本人の心の風景』、『郷土文化試論』、『ふるさとの想念』、『巨樹の顔』、『山嶺へ』、『冥府の森』など、よりテーマを掘り下げた作品を発表しました。特に、『巨樹の民俗学』、『巨樹の民俗紀行 百樹の旅』、『巨木探訪の旅 北のハルニレから南のサキシマスオウノキまで』、『森林を蘇らせた日本人』、『異相巨木伝承』、『本朝巨木伝 日本人と「大きな木」のものがたり』など、巨木に関する著作は、牧野和春のライフワークとも言えるでしょう。

1990年代以降も、『吉田璋也と鳥取県の手仕事』、『奥武蔵 日々の移ろい 独歩『武蔵野』を超えて』、『桜伝奇 日本人の心と桜の老巨木めぐり』、『鎮守の森再考』、『辺境に埋れた放浪の俳・歌人田中寒楼』、『冥府の森 原郷熊野にて』、『巨樹と日本人 異形の魅力を尋ねて』など、精力的に執筆活動を続けました。

2000年代に入ってからも、『日本巨樹論』、『宇宙をもらった男 田中寒楼』、『新桜の精神史』、『対応すれども行動せず 日本人の自立と「太古の霊」』、『凡夫の民藝論』、『古木の物語 巨樹信仰と日本人の暮し』、『残響いろは歌 日本・心の原図考』、『耕尽　光景・刻印・現世』といった作品を発表し、晩年までその探求心は衰えることがありませんでした。

奥武蔵での生活

牧野和春は奥武蔵に在住し、自然に囲まれた環境の中で執筆活動を行いました。その生活は、著書にも反映されており、日本の自然や文化に対する深い愛情が感じられます。

共編著

牧野和春は、共編著も多く手がけています。柳橋真との共著『紙すきの里』や、環境庁巨木調査によせた編著『巨木再発見』、各地方の巨樹・名木巡りの編著シリーズなどがあります。また、宮脇昌三、田中寒楼との共著『伊那の井月 知られざる放浪詩人』、池田勇次との共著『円空と木喰 作仏・遊行廻国・その生きざま』など、多様な分野の研究者や作家との交流を通じて、幅広い知識と視点を取り入れた作品を制作しました。

牧野和春の著作は、日本の自然、文化、精神史に関心を持つ人々にとって、貴重な資料となっています。

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