牧野淳一郎

牧野 淳一郎

牧野淳一郎は、1963年1月6日に岐阜県で生まれた日本の著名な天文学者であり、学術博士です。現在は神戸大学大学院理学研究科の教授として活動しています。彼の専門領域は計算天文学にあり、特にN体シミュレーションやそのための専用計算機「GRAPE」の開発で知られています。

学歴と経歴

牧野は1981年に灘高等学校を卒業後、東京大学に進学し、1985年に教養学部基礎科学科を卒業しました。その後、大学院の総合文化研究科に進み、1990年には博士課程を修了し学術博士の学位を取得しました。修了後は、東京大学大学院の助手としてそのキャリアをスタート、1994年には助教授に昇進しました。

2006年には国立天文台にて理論研究部の教授となり、その後2011年からは東京工業大学の大学院で教授を務めました。2014年には理化学研究所でエクサスケールコンピューティング開発プロジェクトの副プロジェクトリーダーを担い、2016年からは再び神戸大学での教授職に戻り、惑星学の専攻に従事しています。

GRAPEの開発

牧野の業績の中でも特に重要なのは、彼が杉本大一郎の研究室で開発に携わった「GRAPE（Gravity Pipe）」シリーズです。これは重力相互作用を扱うための高性能コンピュータで、天文学のシミュレーションに革命をもたらしました。初期のGRAPEは伊藤智義などと共同で開発され、その後、ASIC（特定用途向け集積回路）の技術を取り入れることで、さらなる性能向上を実現しました。これにより、計算速度は飛躍的に向上し、天文シミュレーションの発展に大きく寄与しました。

受賞歴

牧野はその研究成果により数多くの賞を受けています。特に著名なものとして、ゴードン・ベル賞を1995年から2003年までの間に5度受賞しました。また、1998年には日本天文学会の林忠四郎賞も受賞しており、国内外でその業績が高く評価されています。

著作

彼は多くの著作物を残しており、博士論文には「重力多体系に対する数値的方法」があります。この他にも、GRAPEに関連する論文や、一般向けの物理学の教科書として「パソコン物理実地指導」や「とんでる力学」、「シミュレーション天文学」という書籍があります。岩波書店からは「原発事故と科学的方法」や「被曝評価と科学的方法」といった著作も刊行されています。

逸話

東京大学時代に牧野が開発したGRAPEボードは、愛称「マキーノ」として知られるようになり、特に2ちゃんねる自作PC板などで広まりました。この名称はメタルラックの俗称として定着し、GRAPEの知名度を高める要因となりました。

このように、牧野淳一郎は計算天文学の発展において重要な役割を果たし、その業績は今後も長く語り継がれることでしょう。

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