物価統制令

物価統制令とは

物価統制令（ぶっかとうせいれい）は、昭和21年（1946年）に公布された日本の勅令であり、物価統制に関する事項を定めています。略称は「物統令」。第二次世界大戦後のインフレーションを抑制し、社会経済の安定と国民生活の安定を図ることを目的として制定されました。

制定の背景

終戦直後の日本は、深刻なインフレーションに見舞われました。食料品や生活必需品が不足する中で物価が急騰し、国民生活は困窮を極めました。政府は、こうした状況を打開するため、戦時中に施行されていた価格等統制令に代わる新たな物価統制の仕組みを必要としました。

幣原喜重郎内閣は、新円切り替えに続いて物価統制令を公布。帝国議会の協賛を得る時間がないと判断し、緊急勅令として制定されました。公布・施行日の3月3日にちなみ「三・三物価体系」とも呼ばれました。戦前基準（1934～1936年平均）に対し、物価10倍、賃金5倍というバランスで算出されましたが、都市部では食料や物資の不足が深刻化し、多くの人々がヤミ市での購入を余儀なくされるなど、苦しい生活を送りました。

統制の緩和と現在

戦後の経済復興が進むにつれて、物価統制は徐々に緩和されました。1952年までにほぼ統制が撤廃され、その後はコメや工業用アルコールなどが対象外となりました。2002年以降は公衆浴場の入浴料金のみが統制対象として残りました。

第一次オイルショック時には、物価統制令に基づき物価凍結が検討されましたが、違反を取り締まる人員不足から断念されました。

現在の物価統制令

物価統制令は、ポツダム勅令の一つとして、対日講和条約の発効後も法律としての効力を持ち続けています。改正は法律によって行われます。

近年では、人気チケットの高額転売（ダフ屋行為）に対し、物価統制令を適用して取り締まる動きが見られます。また、迷惑防止条例にダフ屋を取り締まる条項がない地域では、物価統制令違反容疑での逮捕が行われることもあります。

所管官庁

主所管:消費者庁取引対策課
副所管:
財務省大臣官房総合政策課
厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課
農林水産省大臣官房新事業・食品産業部新事業・食品産業政策課
経済産業省商務情報政策局消費・流通政策課
国土交通省総合政策局地域交通課
連携:
文化庁文化経済・国際課
警察庁生活安全局生活経済対策管理官職

まとめ

物価統制令は、戦後の混乱期における物価安定化のために制定された勅令であり、その後の経済状況の変化とともに統制範囲は縮小されましたが、現在でも一部効力を持っています。高額転売などの取り締まりに適用されるなど、現代社会においてもその影響が見られます。

関連項目

価格統制
GHQ (連合国軍最高司令官総司令部)
経済安定本部
オイルショック - トイレットペーパー騒動
群馬コーヒー事件
命令 (法規)
ヤミ市 - ダフ屋
戦時刑事特別法
国民生活安定緊急措置法
生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律
迷惑防止条例
特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

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