物理単位

物理単位：科学における測定の基盤

物理単位とは、物理学や計測において、様々な物理量を表すための基準となる量です。私たちが日常的に使っている長さ、重さ、時間などの単位も、すべてこの物理単位に分類されます。単に「単位」と呼ばれることも多いですが、物理量以外の単位と区別するために「物理単位」という用語が使われることもあります。本稿では特に断りがない限り、「単位」は物理単位を指します。

正確で使いやすい単位の定義は、科学研究において非常に重要です。実験結果の再現性は科学的方法の根幹を成しており、そのためには測定の基準、つまり単位が必要不可欠なのです。科学で使用される単位は、元々は商業目的で発展してきた度量衡の概念を形式化したものです。

単位系と次元

複数の単位を組み合わせて体系化したものを単位系といいます。代表的な単位系として、国際単位系（SI）があります。SIでは、物理量の値（Q）は数値（n）と単位（U）の積として表されます。例えば、圧力1Paであれば、Q=P、n=1、U=Paとなります。この関係は、Q = n × U、またはQ / U = nと表現できます。SIのルールでは、数値nを示す場合、後者の商の形を用います。例えば、表やグラフに数値を示す際、タイトルには「圧力／Pa」のように単位で除算した形を用いるのが一般的です。

物理量や単位には、それぞれ次元という概念が定められています（数値nは無次元量です）。上記の式においても、両辺の次元は必ず一致しています。無次元量は、対数関数logやべき乗関数xnなどの引数として使用できます。

単位の組み立て

単位は、数値と単位記号の積として扱われます。単位量を対応する単位記号で割ると、無次元量になります。異なる単位記号を掛け合わせると新しい単位記号が作られ、例えばSIにおける速度の単位はメートル毎秒（m/s）です。同じ単位記号同士を掛け合わせると、累乗のような表現になります（例：m²（平方メートル））。

いくつかの組立単位には、固有の名称と記号が与えられています。例えば、1ニュートン（N）は1 kg・m/s²に等しく、これは他の単位の組み立てにも使用できます。例えば、表面張力の単位はN/m（ニュートン毎メートル）またはkg/s²（キログラム毎秒毎秒）と表現できます。

ここで注意すべき点として、「密度は単位体積当たりの質量である」という表現は「体積の単位で割られた質量」という意味ではありません。「単位体積」とは「数値1と現在使用している体積の単位記号の積で表される体積」を意味します。例えば、体積の単位にm³を用いる場合、「単位体積」は1m³となります。

単位の換算

単位の換算は、異なる物理量の基準を比較する必要があります。単位間の換算比率はある程度の不正確さを含み、より正確な比較が行えるほど、換算精度も向上します。

倍量単位・分量単位

非常に大きな値や小さな値を扱いやすくするため、基本となる[単位]]の倍量や分量を示す単位が作られています。SIでは、SI接頭語を用いて倍数を表現します。例えば、センチ(c)は0.01倍、ミリ]は0.001倍を表し、センチメートル(cm)は0.01メートル、[ミリニュートン(mN)は0.001ニュートンとなります。ただし、質量の単位キログラム]は例外的に[[単位名に接頭語を含んでおり、接頭語はグラム(g)に対して付けます。

メートル法以外の単位系では、倍量単位・分量単位に固有の名称を付けることが多く、10の累乗倍だけでなく、3倍、6倍、12倍といった数値も用いられることがあります。

単名数・複名数

単位を用いた数値の表現方法として、単名数と複名数があります。単名数は1つの単位のみで表した数値、複名数（または諸等数）は2つ以上の単位を用いて表した数値です。詳細は、単名数・複名数に関する文献を参照してください。

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