物納

物納（ぶつのう）について

物納とは、税金を現金ではなく、穀物や布といった物品で納入する方式を指します。この方法は、特に貨幣経済が発展する前の時代において重要な役割を果たしていました。当時は、貨幣が普及していないため、物品が金銭の代替品として使用されました。物納は、宮廷の消費や政務に必要な物資を調達する観点からも活用されてきました。さらに、物納以外の納入方法として、兵役などに従事する労働に対する納税も存在します。

相続税における物納

相続税に関しては、物納という納税方法が例外的に認められています。相続税法（昭和25年3月31日法律第73号）第41条に基づき、基本的には現金による一括納付が求められていますが、支払いが難しい場合には延納、すなわち分割払いが認められています。この延納が困難な場合、物納が可能となります。ただし、物納できるのは、金銭納付が難しい額に限られます。

物納できる財産としては、不[[動産]]や船舶、国債、地方債、さらには上場株式や非上場株式のほか、動産も利用できます。ただし、優先的には不[[動産]]などが選ばれます。また、物納の際の評価は、市場価格ではなく、相続税申告時に用いる評価額が基準となります。

特定物納制度

相続税の納期限に間に合わせるためには、物納の申請書を提出する必要があります。しかし、一旦延納の許可が下りた後に、支払いが困難になった場合でも、特定物納制度のおかげで、申告期限から10年以内であれば物納への変更が許可されます。この特定物納制度は、納税者にとって非常に重要な救済措置となります。

一方で、贈与税については、相続税法において物納が許可されていないため、注意が必要です。近代の税制度においては、一般的に金銭による納付が主流とされていますが、日本の税法では相続税に関して唯一物納が認められている特異なケースと言えます。

物納は国税徴収法の財産差押えや換価手続きとは異なるもので、特に相続税に関してしっかりとした整備がなされています。物納を理解することで、相続税にかかるさまざまな状況に対応できるようになるでしょう。さらに詳しい情報は、国税庁の公式サイトを参照することをおすすめします。

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