特別航空輸送隊

特別航空輸送隊

特別航空輸送隊（Special Airlift Group）は、航空自衛隊航空支援集団に所属する部隊で、皇室や政府要人の輸送を主な任務としています。また、国際協力や災害支援などの活動も行っています。司令部は北海道千歳市の千歳基地に所在し、「特輸隊」という略称で呼ばれることもあります。

歴史

特別航空輸送隊は、1987年（昭和62年）の政府専用機導入決定に端を発します。当初は民間機として導入されたボーイング747-400型機が使用されていましたが、1992年（平成4年）に防衛庁（現在の防衛省）に移管され、自衛隊機となりました。その後、1993年（平成5年）に正式に特別航空輸送隊として新編されました。

2003年（平成15年）には、イラク難民支援のためにテントを空輸する初の国際協力業務を実施。2019年（平成31年）には、ボーイング777-300ER型機が新たに政府専用機として導入され、現在に至ります。

使用航空機

現在、特別航空輸送隊は、ボーイング777-300ER型機を2機運用しています。これは一般的に政府専用機と呼ばれるもので、任務運航の際は常に2機体制（1機が任務機、もう1機が予備機）で運用されます。

B777-300ER

全長：73.90m
航続距離：14,000km

特別空中輸送員

政府専用機には、民間旅客機と同様に、客室業務を担当する「特別空中輸送員」と呼ばれる航空自衛官が搭乗します。これは、輸送機に搭乗する「戦術空中輸送員（ロードマスター）」とは異なる資格で、選抜された隊員が務めます。

特別空中輸送員になるための道のりは以下の通りです。

1. 航空自衛官として勤務
2. 所属長の推薦を受ける
3. 試験（学科・航空身体検査・面接）に合格後、美保基地で1ヶ月間の教育を受講
4. 客室乗務員として、民間航空会社で接遇や安全確保などの研修（3ヶ月間）
5. 特別航空輸送隊で1ヶ月間の教育
6. 最終検定に合格後、配属

部隊編成

特別航空輸送隊は、以下の組織で構成されています。

隊本部
第701飛行隊
総括班
第1飛行班（操縦幹部、航法幹部、管制幹部、気象幹部、機上無線員）
第2飛行班（空中輸送幹部、空中輸送員、隊員の約半数が女性の航空自衛官）
整備隊
整備本部
整備小隊
装備小隊

主要幹部

特別航空輸送隊の主要幹部については、公式には公表されていません。

特記事項

要人の乗降時にタラップで搭乗扉横に起立している警衛隊員は、実は同乗している整備員（機上整備員）です。これは、安全確保のため、専門的な知識を持つ整備員が警衛も兼務しているためです。

脚注

（特になし）

関連項目

特別輸送ヘリコプター隊（陸上自衛隊第1ヘリコプター団の隷下部隊）

外部リンク

* 特別航空輸送隊

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