特型運貨筒

特型運貨筒の概要

特型運貨筒（とくがたうんかとう）は、日本の大日本帝国海軍により、南方地域への物資輸送を目的として設計された特殊潜航艇です。略称は特運筒（とくうんとう）で、運貨筒や運砲筒といった類似の艇についても、本項目の中で触れられています。

開発の背景

1942年8月、連合軍がガダルカナル島に上陸した後、日本陸軍による物資輸送は海軍の駆逐艦や潜水艦を介して行われていました。この過程で行われた輸送作戦は「鼠輸送」や「モグラ輸送」と呼ばれ、特に潜水艦を利用した方法は効率が悪いことが問題視されていました。このような状況の中で、輸送効率を向上させるために特型運貨筒の開発が進められました。

当初、潜水艦内の物資を海上で別の舟艇に移す方式がとられましたが、物資を海に投入する際に潜水艦が浮上する必要があり高いリスクを伴いました。これを解消するために、潜水艦の浮上をせずとも大量の物資が運搬できる方法が模索され、特型運貨筒が開発されるに至りました。具体的には、甲標的甲型を基に改造され、円筒形の胴体を持つ艇体が構成されています。

仕様

特型運貨筒の全長は22.95メートル、直径は1.85メートル、高さは4.8メートル、全没排水量は40トン、速力は6.5ノットという性能を持ち、航続距離は型により異なりますが、A型で5000メートル、C型では2500メートルです。通常は、エンジン代わりに八年式魚雷を使用し、圧縮空気によって動作しますが、故障回避のため圧縮空気のみで動かされていました。

運用方法

この特殊艇は下士官1名によって操縦され、潜水艦から離脱後、浸洗状態で自走します。運用開始は1943年1月で、甲標的母艦「日進」に搭載されて呉を出発し、15日にトラック島に到着。その後、ガダルカナル島への物資輸送に従事し、物資を運搬後は沖合で自沈処分されました。艇の搭乗員は後から到着する潜水艦に乗船して母船に帰投する形がとられました。

運貨筒と運砲筒

運貨筒（うんかとう）は、特型運貨筒と混同されがちですが、全く異なる特殊潜航艇です。動力を持たない運貨筒は無人で、潜水艦に曳航されて目的地に運ばれ、到着後に切り離されます。これにより、大型発動艇が運貨筒を収容し、積荷を揚陸する仕組みが取られました。

運砲筒（うんほうとう）もまた、潜水艦に搭載され、目的地で離脱し圧縮空気を動力として自走する舟艇です。この艇は双胴船形をとり、二つの胴体に魚雷用推進装置が組み込まれています。

関連項目

特型運貨筒は、他の特殊潜航艇と同様に、時代を通じてさまざまな用途に使用され、その設計思想は後の潜航艇の開発にも影響を与えました。このような艇は、海軍の補給・輸送能力に大きく寄与し、戦局の中で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

もう一度検索