特定不能のパーソナリティ障害

特定不能のパーソナリティ障害（PDNOS）

特定不能のパーソナリティ障害（Personality Disorder Not Otherwise Specified ; PDNOS）は、精神医学的な障害の一種であり、DSM-IVにおけるII軸のパーソナリティ障害として分類されています。これは、患者の症状が特定のパーソナリティ障害の診断基準を完全に満たさないものの、複数のパーソナリティ障害の特徴を併せ持ち、それによって臨床的に著しい苦痛や機能の障害を引き起こしている状態を指します。

診断基準

DSM-IV

DSM-IVにおける診断コードは301.9です。この診断は、患者の症状がどの特定のパーソナリティ障害にも当てはまらないものの、2つ以上の特定のパーソナリティ障害の特徴を持ち、個々の基準は満たさないものの、臨床的に著しい苦痛や機能の障害を呈している場合に用いられます。また、DSM-IVの分類に含まれない特定のパーソナリティ障害の診断基準を用いる場合にも適用されます。

DSM-IV-TRからの除外

DSM-IV-TRの診断分類からは、かつて含まれていた以下の4つのパーソナリティ障害が除外されました。

サディスティックパーソナリティ障害
自己敗北性パーソナリティ障害
抑うつ性パーソナリティ障害
受動攻撃性パーソナリティ障害

パーソナリティ障害の診断においては、特定のパーソナリティの特徴が成人期早期までに明らかになっており、薬物やストレスなど一過性の状態とも区別され、臨床的に著しい苦痛や機能の障害を呈している必要があります。

ICD-10

世界保健機関（WHO）が発表しているICD-10においては、F60.9「パーソナリティ障害、特定不能のもの」として分類されています。ICD-10もまた、いかなるパーソナリティ障害の診断においても、パーソナリティ障害の全般的診断ガイドラインを満たすことを求めています。

ICD-10において分類にない特定のパーソナリティ障害は、F60.8「他の特定のパーソナリティ障害」として分類されます。

疫学

研究によると、特定不能のパーソナリティ障害は、パーソナリティ障害全体の中で3番目に多く診断されています。これは、特定の診断基準に合致しないものの、何らかのパーソナリティの問題を抱えている人が少なくないことを示唆しています。

参考文献

アメリカ精神医学会『DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル（新訂版）』医学書院、2004年。ISBN 978-0890420256

関連項目

パーソナリティ障害

特定不能のパーソナリティ障害の診断は、慎重に行われる必要があり、患者の全体的な状況を考慮した上で、適切な治療計画を立てることが重要です。

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