特定価格

特定価格とは

特定価格は、不動産の価格形態の一つであり、その定義は主に不動産鑑定評価基準に基づいています。この価格は、特定の市場条件下において正常な価格の前提が満たされていない場合に、不動産の経済価値を正確に示すことを目的としています。特定価格は市場性のある不動産に関連しており、法令や社会的要請を背景に評価されることが多いです。

特定価格の定義

特定価格は、具体的には次のように定義されます。市場条件が正常でなければ、その物件の経済的価値を正確に表示する必要があり、これが特定価格を形成します。主に以下のようなケースで特定価格が設定されます。

1. 資産の流動化のための価格：この場合、投資家に提示するための投資採算価値を示す目的で評価されます。特に、資産流動化に関する法律や投資信託及び投資法人に関連した法律の下での評価が該当します。

2. 早期売却を前提とした価格：民事再生法に基づき、早急に売却することが求められる場合、この特定の価格が必要です。通常の市場公開期間より短縮されるため、売却時には減価が生じることがあります。

3. 事業継続を前提とした価格：会社更生法や民事再生法により、事業継続のための評価が行われる際に必要です。この場合も対象となる不動産の最有効使用を前提とするものではないため、特定価格に基づく評価が求められます。

特定価格が求められる背景には、資産流動化計画による投資家への開示や、事業の継続性を保持するための合理的な評価が必要とされる点があります。このように、特定価格は通常の市場条件が尊重されないケースにおいても、経済価値をしっかりと反映させるための重要な指標となります。

特定価格の重要性と実務

不動産鑑定評価基準においても、特定価格は重要な位置を占めており、正常価格を求めることができる不動産について特定価格が設定される場合、その旨を報告書に記載することが求められます。

たとえば、特定価格の評価がなされた場合、鑑定評価報告書においては、正常価格も参照されることが通常です。これにより評価の透明性が確保され、投資家や関係者に対して適切な情報が提供されます。

参考文献

特定価格や不動産鑑定評価についての詳細な情報は、以下の文献に記載されています：

• - 日本不動産鑑定協会 編著『新・要説不動産鑑定評価基準』
• - 新藤延昭『不動産鑑定評価の知識』
• - 不動産投資分析研究会（著）、山下誠之、室津欣哉（編）による『投資・証券化のための不動産の調査・分析・評価の実務』

このように、特定価格は不動産評価の様々な場面で必要とされる重要な概念であり、関係者はその内容を十分に理解することが求められます。

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