特急「白鳥」十四時間

ストーリー

大阪に出張中の亀井刑事は、ある日、暴漢に襲撃されます。逮捕したチンピラから、亀井の首に1千万円もの賞金が掛けられている事実が判明します。東京のアンダーグラウンドでは「賞金首・亀井」のポスターが出回っており、チンピラの間で有名になっているという異常事態。警察への挑戦ともとれる行為に、十津川警部は総力を挙げて捜査を開始します。

捜査の結果、暴力団顧問の幸田圭吾という男の存在が浮上しますが、捜査は行き詰まります。そこで、十津川警部は若林刑事をチンピラに扮させ、アンダーグラウンドに潜入させます。「亀井を暗殺する」と吹聴させることで、情報収集を試みます。一方、大阪にいる亀井刑事は、自らをおとりに犯人を逮捕しようとします。記者会見で自身の近況を意図的に公開し、犯人を誘い出す作戦を開始。故郷の叔母を見舞うという名目で、大阪から青森へ向かう特急「白鳥」に乗車します。

捜査が進むにつれ、過去に亀井刑事に逮捕された二人の男、元バー経営者の後藤正也と、手製銃で無差別襲撃事件を起こした原勝一が容疑者として浮上します。二人は収監中から亀井への復讐を誓っていたようです。彼らの身辺を洗うと、宝石店の小切手で契約金が支払われており、二人が亀井を殺害するために「白鳥」に乗車したことが判明します。小切手の出所を辿ると、宝石店社長の息子がギャンブルのカタとして幸田に小切手を渡していたことが判明し、幸田が事件に関与していることが明らかになります。

「白鳥」の車内では、十津川と若林の連絡役を務めていた片山婦警が殺害され、後藤が亀井を襲撃するという事件が発生します。一体誰が、何のために亀井を狙うのか？そして、二転三転する事件の結末は？

登場人物

警視庁捜査一課
十津川省三：警視庁捜査一課の警部。
亀井定雄：大阪府警から警視庁に出向中の刑事。今回の事件のターゲット。
若林刑事：十津川警部の部下。チンピラに扮してアンダーグラウンドに潜入する。
西本明：十津川警部の部下。
日下淳一：十津川警部の部下。
清水新一：十津川警部の部下。
小林刑事：十津川警部の部下。
片山婦警：十津川警部と若林刑事の連絡係。

事件関係者
幸田圭吾：暴力団「S組」のブレーン。面白半分で捜査に協力するが、実は亀井暗殺の指揮を執る。
田所ゆき：新宿のクラブ「ゆき」のオーナー。若林刑事をチンピラと信じ情報を漏らす。
井戸口一也：「井戸口宝石店」の新宿支店長。幸田に小切手を脅し取られる。
久原夏子：事件の裏で暗躍する謎の女。

亀井を狙う者たち
石崎二朗：21歳のチンピラ。大阪で亀井を襲撃するが、逆に捕まる。
後藤正也：40歳。元クラブ「セイント」の経営者。過去に共同経営者を殺害し、亀井に逮捕された。
* 原勝一：42歳。自称詩人。手製銃で無差別銃撃事件を起こし、亀井に逮捕された。

テレビドラマ

1985年にテレビ朝日系列で『西村京太郎トラベルミステリー 特急“白鳥”十四時間・大阪－新潟－青森 日本一長い電車特急で連続殺人! 津軽海峡の女』としてドラマ化されました。愛川欽也が亀井定夫役、三橋達也が十津川省三役を演じました。その他、中野良子、平幹二朗、北詰友樹、江原正士などが出演しています。

ドラマでは、亀井刑事の人間味あふれる姿や、犯人との息詰まる攻防が描かれ、原作とは異なる結末を迎えます。また、特急「白鳥」での旅情や、津軽海峡の美しい風景も作品の見どころとなっています。

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