特TL型

特TL型の概要

特TL型（とくTLがた）は、第二次世界大戦中に日本で開発された特殊なタンカーで、航空母艦の機能を持つことを特徴としています。これは、戦時標準船の一種であり、特設航空母艦としての役割を果たすために設計されました。特TL型は、主に南方地域からの石油輸送を効率的に行うために考案された船舶であり、その設計の基礎となったのは1939年に完成した石油タンカー「黒潮丸」です。このような船舶は、艦隊への随伴が可能であり、特設航空母艦としての最低限の能力も備えていることが求められました。

開発の経緯

開発は1939年にさかのぼり、南方からの資源輸送の重要性が増す中で、津波や潜水艦の脅威に対抗するための大型タンカーの設計が進められました。当初は、商船の改造による簡易な護衛空母の構想もありましたが、海軍の方針として陸上機による哨戒が重視されたため、計画は実現しませんでした。

1943年、陸軍からの提案に基づき、航空機補給船という名目で新たな護衛空母の構想が提出されるものの、資材の枯渇から実現は困難でした。さらに、陸海軍の間での協議を経て、最終的には特TL型への改装が合意されました。具体的には、三菱重工業と川崎造船所でそれぞれ2隻ずつが建造されることが決まりました。しかし、この開発は戦局悪化の影響を受け、建造が遅延しました。

設計の特色

特TL型は、一見すると民間船舶の形を持ちつつも、軍用途へのコンバージョンを前提としています。特1TL型は、艦隊の随行を意識した設計であり、一定程度の速力を持ち、戦闘にも適応可能でした。対照的に特2TL型は、量産性を重視した構造で、艦隊随行には適していませんでした。このように、特TL型は、設計段階から異なる目的と用途に応じた多様性が求められました。

建造とその後

特TL型の建造は1944年にスタートするものの、戦争の激化により船舶建造能力が低下し、結果として4隻のうち2隻が完成した時点で戦局は崩壊しました。このうち、「山汐丸」は1945年に、他の「しまね丸」は終戦を迎えましたが、どちらも本来の任務には就けず、建造中止や改装中に終わる結果となりました。特TL型の護衛空母としての任務は、最終的には果たされることがなかったのです。

運用に関する考察

特TL型の運用思想については、連合国とは異なり、艦隊型空母の補助として考えられたことが強調されます。特TL型は護送船団の中心的な役割ではなく、艦隊での活用が重視され、船団護衛用の空母としての発展には至りませんでした。日本海軍の戦略において、連合国のように護衛空母の重要性が十分に認識されることはなかったのです。

同型艦の分類

特TL型には、原型であるTL型の時期によってさまざまな分類があり、特1TL型と特2TL型に分けられます。各型は対空戦闘や対潜戦闘に重きを置くなど、それぞれの設計思想が異なります。特1TL型は艦隊の補助戦力としての役割を意識しており、特2TL型は護送船団の護衛を目的にした船舶でした。結局、有効な戦力として機能する前に戦争が終結したことが、特TL型の運命を決定づけることとなりました。

もう一度検索