犬夜叉 (架空の人物)

犬夜叉の詳細解説

キャラクター概要

犬夜叉は、高橋留美子による人気漫画『犬夜叉』の主人公であり、半妖という特殊な存在です。声優はアニメ版では山口勝平が担当し、舞台では佐藤アツヒロ、喜矢武豊が演じています。外見は人間換算で15歳程度ですが、実際の年齢は不明。劇場版では200歳とされていますが、原作との整合性は定かではありません。

人物像

一人称は「おれ」。常に荒々しい口調で、好戦的な性格ですが、根は優しく良心的です。敵には容赦しない一方で、命乞いをする相手は見逃すなど、無意味な殺生を嫌う一面も持ち合わせています。

半妖という自身の境遇から、同じ立場の者には特別な感情を抱き、特に奈落に対しては、人間でありながら妖怪の道を選んだことへの激しい怒りを露わにします。

骨喰いの井戸を自由に通り抜けられる唯一の存在であり、戦国時代と現代を行き来できます。現代では、かごめの飼い猫ブヨと遊ぶ姿がよく見られます。特徴的な犬耳と銀髪を持ち、犬扱いされると怒ります。鼻が非常に利き、微かな臭いも感知できますが、強い臭いは苦手です。また、右目には父の墓に通じる黒真珠が隠されています。

初期には楓によって言霊の念珠をつけられており、かごめの「おすわり」という言葉で地面に叩きつけられます。当初はかごめを邪険にしていましたが、次第に彼女に惹かれていきます。また、兄である殺生丸とは犬夜叉の父の遺産である鉄砕牙を巡り対立していましたが、物語が進むにつれお互いの動向を気にかけ、関係性が変化していきます。

好奇心旺盛で、かごめの荷物に興味を示したり、自転車に乗る練習をするなど、子供らしい一面も持ち合わせています。直情的な性格のため、頭脳戦は苦手ですが、勘が鋭く、相手の弱点を見抜くことも得意です。食いしん坊で、カップ麺やポテトチップス、たくあんが好きですが、辛いものは苦手です。

過去

幼少期は没落貴族の母と過ごしましたが、半妖であることから差別を受けました。父方の家系からも同様に扱われていたようです。母の死後は孤独な日々を送り、妖怪との戦いを重ねることで力をつけていきました。卑怯な手段を嫌い、正々堂々と戦うという武人としての考えを持っています。その生い立ちから、15歳（実年齢は200歳）にしては子供っぽい面があり、力任せな戦い方が目立ちます。しかし、物語の中盤で自身の戦い方が原因で仲間を危険に晒したことを深く反省しました。

四魂の玉を求める中で桔梗と恋仲になりますが、奈落の策略によって2人の仲は引き裂かれ、桔梗によって御神木に封印されます。

かごめとの出会い

50年後、桔梗の生まれ変わりである日暮かごめによって封印が解かれます。当初は桔梗に似た彼女を嫌っていましたが、行動を共にするうちに次第に心を開き、恋心を抱くようになります。桔梗が蘇ってからは、2人の女性の間で揺れ動くことになりますが、かごめが他の男性に言い寄られると嫉妬する一面も見せるようになります。物語終盤では、かごめとの絆を深め、共に奈落を倒しました。

その後、かごめを現代に送り返し、骨喰いの井戸が繋がらなくなってからは、弥勒の手伝いをしながら楓の村に住んでいました。約3年後、再び井戸が繋がり、かごめと再会します。続編『半妖の夜叉姫』では、かごめと結婚し、娘のもろはをもうけています。

半妖としての特性

犬夜叉は、命の危機に晒されると妖怪の血が覚醒し、完全な妖怪に変貌します。この状態では、頬に紫の痣が現れ、目が赤く染まり、爪が鋭くなります。戦闘能力が飛躍的に向上しますが、理性を失い破壊衝動に駆られます。この状態を制御できるのは、鉄砕牙を持つか、かごめの「おすわり」による鎮静化のみです。

また、月に一度の新月の日には妖力を失い、普通の人間になります。この日は、鉄砕牙も使用できず、火鼠の衣もただの着物になります。この弱点は、仲間たちには知られていましたが、敵にも知られることになります。

当初は四魂の玉で完全な妖怪になることを望んでいましたが、妖怪化したことで他人を傷つけた経験から、その望みを断念しました。しかし、人間と妖怪は根本的に違うという考えは持っており、普通の人間が妖刀を持つことには否定的です。現代では、犬耳を隠すために帽子を被ることがあります。

戦闘能力

犬夜叉は、火鼠の衣を身に纏い、高い防御力と生命力を持っています。また、父から受け継いだ妖刀鉄砕牙を主な武器として、多彩な技を駆使して戦います。

主な技

散魂鉄爪（さんこんてっそう）: 爪で敵を切り裂く基本的な技。
飛刃血爪（ひじんけっそう）: 爪の血を硬化させ、刃として飛ばす奇襲技。
風の傷（かぜのきず）: 鉄砕牙で風の裂け目を切り裂き、衝撃波を放つ技。
爆流破（ばくりゅうは）: 敵の妖気を逆流させ、無数の渦で攻撃するカウンター技。
結界を破る赤い鉄砕牙: 結界を破る能力を鉄砕牙に付与する技。
金剛槍破（こんごうそうは）: 金剛石の槍を飛ばし、貫通力に秀でた技。
竜鱗の鉄砕牙（りゅうりんのてっさいが）: 敵の妖気を吸収し、妖穴を斬って決壊させる技。
鉄砕牙の炎: 鉄砕牙に炎を纏わせる技。
冥道残月破（めいどうざんげつは）: 冥道を開き、敵を冥界に送る技。殺生丸の天生牙から吸収した。

その他持ち物

火鼠の衣（ひねずみのころも）: 火や毒を防ぐ頑丈な衣。自己再生能力を持つ。
言霊の念珠（ことだまのねんじゅ）: かごめの「おすわり」で犬夜叉を鎮める数珠。

エピソード

原作者の高橋留美子は、犬夜叉役には山口勝平しかいないと製作サイドに交渉し、山口を推薦しました。また、高橋は犬夜叉を自身が初めて描いた少年漫画のヒーローと語っています。

犬夜叉は、アニメージュのアニメグランプリで男性キャラクター部門第1位に選ばれるなど、非常に人気が高いキャラクターです。

高橋留美子展の特別アニメでは、『うる星やつら』のラムと出会い、戦いを挑むも、かごめに鎮められる場面がありました。また、『らんま1/2|らんま1_2』の早乙女乱馬とも出会っており、乱馬に「どこの呪泉郷に落ちたんだ」と言われるシーンも描かれています。

受賞・ランキング

アニメージュアニメグランプリ男性キャラクター部門第1位(2001年)
発表!全るーみっくアニメ大投票キャラ部門第1位(2019年)
イード主催「アニメに登場する“犬”キャラといえば?」アンケート第2位
ランキングー!主催「銀髪・白髪系イケメンキャラクター人気ランキング【アニメ】」第2位

脚注

京極夏彦の小説シリーズ『虚実妖怪百物語』には、殺生丸とともにゲストキャラクターとして登場します。

参考文献

『少年サンデーグラフィック 犬夜叉 高橋留美子原画全集 アニメ犬夜叉の世界』小学館、2001年
* 『少年サンデーグラフィック 劇場版テレビ版犬夜叉アニメ全書』小学館、2002年

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