犬寄峠

犬寄峠（いぬよせとうげ）

犬寄峠は、愛媛県伊予市の南部に位置する峠です。旧中山町と旧双海町の境に位置し、松山平野の南端、四国山地の北端にあたります。

地理

現在は国道56号の犬寄トンネルとJR予讃線の犬寄トンネルが山腹を貫通しています。本来の峠道は、これらのトンネルよりもさらに高い場所に位置しています。

松山市方面から宇和島市・大洲市方面へ向かう際、国道56号および予讃線で最初に越える峠（トンネル）であり、利用者の心理としては、松山地域と愛媛県の南部地域（南予地方）を分ける場所と認識されています（峠の南側の一部は、行政区画としては中予地方に属する伊予市の一部（旧伊予郡中山町）です）。

峠に源を発する森川は北へ流れ伊予市森で伊予灘へと注ぎ込みます。また、上灘川は西へ流れ、伊予市上灘で伊予灘に流れ込みます。標高は306mです。

歴史

藩政時代には、松山と大洲を結ぶ大洲街道がこの峠を通っていました。当時は松並木が続く難所であり、狭い場所では道幅がわずか一間程度だったと伝えられています。当時の道の標高は329mでした。

明治38年：愛媛県による街道の改修が始まりました。
明治38年頃：郡中（伊予市の中心部）と中山（後の伊予郡中山町）を結ぶ乗合馬車の運行が開始されました。
1962年（昭和37年）5月1日：政令第184号により一級国道56号線に指定されました。
1965年（昭和40年）3月29日：政令第58号により一般国道56号に指定されました。
1970年（昭和45年）3月：犬寄トンネル（延長738m）を含む犬寄峠の道路工事が完成しました。
1986年（昭和61年）3月3日：犬寄トンネル（延長6,021m）を含む予讃線向井原駅 - 内子駅間が開業しました。

伝承

犬寄峠の名前には、以下のような伝承が残されています。

昔、この峠には多くの山犬がいて、峠を旅する人々を頻繁に襲っていました。その山犬にまつわる伝説の一つに、「左衛門の犬退治」があります。

左衛門の犬退治

大洲藩の御用飛脚である畑の左衛門が、深夜にこの峠を通りかかった時のこと。無数の山犬に襲われた左衛門は、松の大木に登って一時的に難を逃れました。しかし、山犬は群れを成し、肩車をして左衛門に迫ってきました。「もはやこれまでか」と思った時、左衛門はふと刀の目貫（刀の柄にある装飾）の鶏の名作に目が留まりました。その鶏は、血の温かみを感じると精を得て鳴くとされていました。左衛門は大声で「この鶏の名作、まことに精あるものならば、見事に鶏の声を放て」と祈りました。すると、たちまち刀の先から「コケコッコー」と鮮やかな鳴き声が響き渡りました。この声に驚いた山犬たちは、夜が明けたと勘違いし、一目散に退散したと言われています。

通過する交通路

国道56号
松山自動車道
JR予讃線

位置情報

北緯33度41分26秒 東経132度42分21秒
地理院地図
Google マップ
[伊予市]]中山町佐礼谷 ([Google マップ)

関連項目

日本の峠一覧

外部リンク

* 一般国道五六号の改修と犬寄峠 - 愛媛県生涯学習センター

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