犯土

犯土（つち、ぼんど）は、選日の一つであり、暦注における特定の期間を指します。この期間中は、土を犯す行為が忌まれるとされています。

具体的には、以下の期間が犯土として定められています。

大犯土（おおづち、大土）: 庚午（かのえうま）の日から数えて、丙子（ひのえね）の日までの7日間。
小犯土（こづち、小土）: 戊寅（つちのえとら）の日から数えて、甲申（きのえさる）の日までの7日間。

これらの大犯土と小犯土の間には、丁丑（ひのとうし）の日があり、この日は間日（まび）、犯土間日（つちまび）、または中犯土（なかづち）と呼ばれます。間日は犯土の期間に含まれるものの、犯土の禁忌は存在しないとされます。つまり、この日は土を犯す行為をしても差し支えないとされています。

犯土の期間中、土公神（どくじん）という神が本宮や土の中にいるとされており、この神を怒らせないために、土を犯す行為が禁じられています。具体的には、穴掘り、井戸掘り、種蒔き、土木工事、伐採など、土をいじる全ての行為を慎むべきとされています。特に、地鎮祭のような建築儀礼においては、犯土の期間は凶日とされており、これらの儀式を避けるべきだと考えられています。

犯土の禁忌の内容は、土用（どよう）の期間の禁忌と共通する部分が多くあります。土用もまた、土を犯すことを避けるべき期間とされており、その背景には農耕における自然への畏敬の念が存在すると考えられます。

犯土という言葉は、元来「土を犯す行為」、特に現代の地鎮祭に相当する儀式そのものを指していました。しかし、時が経つにつれて、その意味が変化し、土を犯す行為を禁じる禁忌、さらにはその禁忌が適用される期間そのものを指すようになったと考えられています。この変化は、人々の生活様式や信仰の変化に伴い、言葉の意味も変化していくことを示しています。

このように、犯土は単なる暦上の期間だけでなく、古代から続く人々の生活や信仰と深く結びついた概念であると言えます。

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