狂った太陽

アルバム『狂った太陽』

日本のロックバンドBUCK-TICKが1991年にリリースしたオリジナルアルバム『狂った太陽』は、彼らの音楽的活動における重要な作品です。本作は、前作『悪の華』からおよそ1年の間を経て発表され、全体を通して深い歌詞と新たな音楽性を持ち合わせています。

リリースと背景

『狂った太陽』は1991年2月21日にビクター音楽産業のInvitationレーベルからリリースされました。このアルバムは、櫻井敦司が歌詞を手掛け、今井寿と星野英彦が作曲を担当しました。また、BUCK-TICK自らプロデュースした作品であり、レコーディングでは今井がギターシンセサイザー、星野が12弦ギターを使用するなど、新しい試みが盛り込まれています。

このアルバムの制作は、前作リリース後のツアー中に起こった櫻井の母の死という辛い出来事が影響し、記憶喪失に近い状態で書かれたものであることが後に語られています。その悲しみが反映された歌詞は、特に収録曲「JUPITER」と「さくら」に顕著です。

先行シングル「スピード」に加え、「M・A・D」と「JUPITER」もリカットとして単独リリースされました。「JUPITER」は、日本ビクターのCMソングに起用され、櫻井がCMにも出演しました。音楽的には、オリコンチャートで2位を獲得し、さらに第33回日本レコード大賞の優秀アルバム賞に輝いています。

音楽制作の苦労

『狂った太陽』のレコーディング期間は1990年9月から11月にかけて行われましたが、今井のギター・ダビングが予定よりも遥かに長くかかり、劇的な制作環境が生まれました。収録されている楽曲は、櫻井の感情や音楽への熱意が色濃く反映されています。

歌録りにおける櫻井のアプローチも変化し、レコーディング後のエフェクターによる補正ではなく、歌にキャラクターを与えようとする姿勢が見られました。音楽的な挑戦として、テクノやエレクトロニックの要素が初めて取り入れられ、楽曲制作においても多彩なリズムやメロディが探求されました。

歌詞の内容

本作の歌詞は、櫻井が内面的な情熱や弱さをさらけ出すことを目指しており、従来は他者の目を意識していた表現方法からの脱却を果たしています。特に「JUPITER」や「さくら」などの楽曲は、櫻井の母への深い思いが込められており、個人的な経験を基にした作品となっています。歌詞の内容は、彼自身の強い感情を反映させるものとなっています。

アートワークとツアー

アルバムのアートワークは、サカグチケンが制作し、当時最先端の技術を駆使したデザインが施されています。また、『狂った太陽』を引っ提げたツアーも開催され、全国を巡る公演が行われました。

このアルバムは、BUCK-TICKの音楽的進化を果たし、リスナーに新たな体験を提供しました。リリースされた際の評価を受け、今なお多くのファンに愛され続けている名盤です。

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